「月3万3,000円以上、時給250円以上」の賃上げを求める/国民春闘共闘の26春闘方針

2026年1月28日 調査部

全労連や中立労組などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:秋山正臣全労連議長)は16日、都内で第1回単産・地方代表者会議をオンラインとの併用で開き、「2026国民春闘方針」を確認した。賃上げ要求基準として、「月額3万3,000円以上(率換算で約10%以上)、時間額250円以上(同約17%以上)」の賃上げを求める。要求は25春闘より月額で1,000円、時間額も50円増額した。法定最低賃金も25春闘より高い「いますぐ全国一律1,700円以上、めざせ2,000円」を設定した。さらに、企業内・産業内最低賃金も、「時給1,700円以上、月25万5,000円以上」に引き上げる。こうした方針を踏まえ、日本医労連も14,15の2日間の日程で開いた中央委員会で、2026年の春闘方針を決めた。統一重点要求として、「月額平均5万円以上」「パート労働者時間給300円以上の引き上げ」を掲げる。

「賃上げ交渉を文化にする最初の春闘」を目指す

国民春闘共闘委員会は26春闘で「対話と学びあいで仲間を増やしすべての労働者の大幅賃上げ・底上げを実現しよう」をスローガンに掲げ、全ての労働者に「労働組合に入ってみんなで一緒に賃上げ交渉する」ことを呼び掛ける方針を示した。「賃上げ交渉を文化にする最初の春闘」にすることを目指す。

方針は、25春闘などでの賃上げや最低賃金の引き上げ、人事院勧告、物価上昇に対する医療機関への支援などの流れを「水準は極めて不十分だが、たたかいによってつくり出した変化」だと主張。26春闘では「人間らしい生計費が賄える賃金要求を掲げてたたかっていることに確信と自信を持って臨む」とともに、「『職場での労使交渉による賃上げ』と『社会的な賃金闘争(最低賃金、公契約、公務員やケア労働者の賃上げ)』を前進させ労働組合主導の賃上げ闘争をつくる」考えを強調した。単産と地方・地域組織の共同による「地域春闘」の強化も打ち出している。

春闘アンケートで賃上げ要求額が月額・時間額とも過去最高に

具体的な賃上げ要求基準は、25春闘より月額で1,000円、時間額も50円高い「月額3万3,000円以上(率換算で約10%以上)、時間額250円以上(同約17%以上)」とした。国民春闘共闘委員会が実施した春闘アンケート(19単産・11万4,279人の回答を集約)によると、賃上げ要求額は平均で月額3万3,026円、時間額209.8円で、ともに過去最高額。時間額については、アンケート結果は209.8円だったものの、後述する法定最低賃金要求を1,700円に設定することを踏まえ、「厚労省の賃金構造統計調査の短時間労働者の平均賃金時給1,476円に不足する約250円を要求する」としている。

法定最賃要求は「いますぐ全国一律1,700円以上、めざせ2,000円」

法定最低賃金要求は、「いますぐ全国一律1,700円以上、めざせ2,000円」とし、前年の「いますぐ全国一律1,500円以上、めざせ1,700円」から上積みした。国民春闘共闘委員会によると、この水準について、討議では主に ① 職場段階での議論不足があり、さらに丁寧な議論が必要 ② 1,500円にも到達していない現状 ③ 最低生計費試算調査の結果を踏まえ、めざす要求として2,000円を掲げる必要--があるとの意見が出されたという。方針は、「最低賃金発効日の遅延・分散化の問題もあり、『1,500円ですら遠く真剣になれない』などの意見はいまも多数ある」一方で、「物価高騰を踏まえた最低生計費試算調査の結果は、およそ時間額1,700円以上(月労働時間150時間での年収は306万円)なければ人間らしい生活はできないことを示している」と説明。「この科学的な調査根拠を誰もが最低必要な生計費として要求することが最も合理的且つ『1,500円ではもう足りない』との結集軸をつくることができる」と結論づけた。企業内・産業内最低賃金についても、最低賃金要求(時間額1,700円以上)を下回ることはできないとして、「時間額1,700円以上、月額25万5,000円以上」を掲げている

5月1日メーデーを国民の祝日に

一方、労働時間・働き方の要求基準は、「人間らしい生活、自分で自由に使える時間を確保する」ために、 ① 所定労働時間を1日7時間、週35時間をめざす ② 時間外労働の上限は、週15時間、月45時間、年360時間までとするために、36協定の特別条項を廃止する ③ 勤務時間インターバルを連続して11時間以上とする ④ 深夜勤務や変則勤務、対人労働の場合は、労働時間を短縮する――といった4つの要求基準を列記した。さらに、今春闘では労働時間・働き方に関わり、「5月1日メーデーを労働者の権利を守る日」として、政府に対して国民の日にする「祝日法改正」を要求。あわせて、使用者にも「職場を休日にするよう求める」としている。

秋山代表幹事はあいさつで、「25春闘では対話と学び合い、ジェンダー平等推進を掲げてたたかってきたが、実質賃金をプラスにすることには至っていない」などと指摘。「仲間増やしも道半ば。大幅賃上げと労働時間短縮、組織拡大などをめざして26春闘に臨もう」と呼び掛けた。

ケア労働者の処遇改善も

このほか、方針は、医療・介護労働者を中心とするケア労働者の処遇改善が「緊急に必要」だと主張。25春闘での医療職場での賃上げ幅が他産業より低いことや、昨年の年末一時金が前年比で大きくマイナスになっていること、介護職場の賃金実態も他産業に比べて低いことなどをあげて、「ケア労働者の大幅賃上げアクション」取り組むことを明記している。

職場での「要求討議、要求づくり」で仲間を増やす

一方、方針は、「職場での『要求討議、要求づくり』で『仲間増やし』」を進める方向性も打ち出している。「組合員とともに未組織の労働者にも春闘要求アンケートでの対話を促進」。職場懇談会を開くなど職場での対話を重視して未組織労働者の参加を促し、「みんなが確信をもてる要求を練り上げていく」。そのうえで、要求提出が困難になっている職場でも「職場活動の強化」に焦点をあてて、「対話と学びあい」を推進。「組合員の困難や職場実態から要求をつくるたたかいのスタイル確立に挑戦」する考えだ。

「取り組みで前進したことに最大限の評価を」(秋山代表幹事)

秋本代表幹事は冒頭のあいさつで、自らが役員になってからの労働組合を取り巻く情勢について、「良くなったと感じたことは本当にない。最近になって賃金引き上げが進み、労働条件も改善されているが、全体としては厳しい状況が続いている」と概観。「そのため、オルグでは暗い話に終わりがちになっていないか。それを聞かされた組合員に元気がでるのか。また、『あなたしかいない』『あなたが頑張らないと』と言われ続けることにも、いつまでも耐えられないと思う」などとおもんばかった。そのうえで、「人間の精神は弱いもの。だからこそ取り組んだことによって勝ち取ったことを、『あなたの取り組みがあったからこそ前進した』という最大限の評価をもっとすべきだ」と言明。座り込みやデモなどの行動を例にあげて、「『やっても変わらない』ことはなく、やらなければもっと酷いことになっていたはずだ」などと述べ、「未加入の労働者が労働組合に加入するなど力を貸してくれれば、労働条件はもっとよくなる」として、労働組合の未来と展望を訴え続けていくことに改めて意欲を示した。

ストライキを背景に「労働組合主導のたたかい」と「要求実現」を

たたかい方については、「ストライキを背景に生活改善につながる大幅賃上げ・底上げを求める」取り組みにも言及。24・25春闘でストライキを決行した組合の事例交流などで、「ストに対する不安や疑問を解消し、すべての職場でスト権を確立し、ストを構えたたたかいに取り組むよう」議論を呼びかけていく。「労働組合主導のたたかい」を進めるには、「ストライキなど高い交渉力をもって、対等な労使関係を築き、賃上げを迫ることが必要だ」と主張。「要求提出したすべての職場でストを構え、納得できない回答にはストを決行してたたかう構えを確立していく」としている。さらに、賃上げが困難な企業に対しても、「どうすれば賃上げできる経営となるのか、その展望を労働者・労働組合に示すよう求める」などとしている。

3月11日を集中回答日に設定

方針は、集中回答日を3月11日に設定。翌12日にはストライキを含む全国統一行動を行う。さらに、4月9日には第2波の全国統一行動として、職場・地域で「賃金上げろ!最賃ビッグアクションデー」に取り組む。

「月額平均5万円以上・パート労働者の時間給300円以上」の引き上げを/日本医労連

こうした国民春闘共闘と全労連の方針を踏まえ、病院や福祉施設の労働組合でつくる日本医労連(佐々木悦子委員長、13万7,000人)は14,15の両日、都内で中央委員会を開き、2026年の春闘方針を確認した。看護師や介護職員らの賃金改善の統一要求を前年同様、「月額平均5万円以上・パート労働者の時間額300円以上」とする。方針は、「賃上げから置き去りにされ、他産業との賃金格差が拡大し、介護職だけでなく看護職も選ばれない職業になりつつある」などと指摘して、「生活改善できる賃上げ・ベースアップの実現は喫緊の課題だ」と訴えている。

また、方針は「地域最賃が医療・介護・福祉分野のパート時給に肉薄する事態となっている」ことも問題視。賃金の底上げを図るために、「企業内最低賃金協定の締結・改善を全組合で取り組む」考えも示した。具体的には、看護師は月額33万円以上・日額1万7,600円以上・時間額2,200円以上。誰でも月額27万円以上・日額1万4,400円・時間額1,800円以上を設定している。さらに、「各年代での生計費に応じた賃金要求を掲げることが重要」だとして、年代別ポイント賃金の要求にも取り組む構え。具体的には、35歳で看護師・41万円以上、介護福祉士・39万円以上、事務職・38万円以上などを提示した。

診療報酬・介護報酬の改善も

このほか、「公定価格の抑制が医療機関・介護事業所の存続に深刻な影響をもたらしている」などとして、「安全でゆきとどいた医療・看護・介護を保障する診療報酬・介護報酬の改善」も求める。

集中回答日翌日の3月12日には、「産別統一ストライキ」を配置する。方針は、「すべての組織でストライキに立ち上がることが重要」だと強調したうえで、「それぞれの単組・支部で最大限の構えを追求することを前提に、例えば始業前からのスト集会を就業時間に食い込ませ、5分でもストライキを実施するなどの工夫をして産別統一ストライキに備える」ことを呼び掛けている。

なお、中央委員会後には、ケア労働者の大幅賃上げと公定価格の大幅引き上げの実現を求めて、銀座デモを行った。