「2交替」病棟の半数弱で16時間以上の長時間夜勤/日本医労連調査
2025年12月24日 調査部
日本医労連(佐々木悦子委員長、14万2,000人)は19日、2025年度の夜勤実態調査の結果を発表した。それによると、8時間以上の長時間勤務が前提となる「2交替」病棟の割合が54.8%となり、はじめて50%を超えた前年度(50.7%)をさらに上回り、過去最高を更新した。「2交替」職場の半数弱で16時間以上の長時間夜勤が行われており、「3交替」職場も4分の1が「月9日以上」の夜勤に従事しているなど、看護職員・看護要員の過酷な労働実態が明らかになっている。
「2交替」病棟の割合が54.8%に
調査結果によると、8時間以上の勤務となる「2交替」病棟の割合は54.8%で、昨年度(50.7%)より4.1ポイント増加し、過去最高を更新した。一方、「3交替」病棟の割合は前年度の49.3%から4.1ポイント減って45.2%となり、昨年度調査に続いて「2交替」病棟の割合が「3交替」病棟を上回った。
また、「2交替」職場での「16時間以上」の長時間夜勤は、病棟数の47.5%、看護職員数の46.0%となった。昨年度(病棟の51.3%、看護職員の49.4%)より減少したものの、5割弱で高止まりしている。日本医労連は、「健康に安全に働き続けるには、長時間夜勤に対する労働時間規制と夜勤日数の制限が必要であり、現状の改善が急がれる」などと主張している。
ICU・CCU等では「月9日以上」の夜勤が4割超に
夜勤日数をみると、「3交替」職場の月あたりの平均夜勤日数は7.76日で、昨年(7.85日)より微減した。
夜勤回数については、1992年に制定された「看護師等の人材確保の促進に関する法律」の基本指針(看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針)で、離職防止対策として夜勤負担の軽減があげられ、3交替制の場合、「複数を主として月8回以内の夜勤体制の構築」が位置づけられた。一昨年、約30年ぶりに改定された新たな基本指針でも、月8回以内の夜勤体制の構築に向けて、「引き続き積極的に努力することが必要」としている。今回の調査では、その水準に収まる「月8日以内」が75.4%だったのに対し、「月9日以上」は24.6%と、昨年(26.9%)よりわずかに減少したものの、依然として全体の4分の1が指針の水準を超える結果となった。特に、重篤・重症の急性期患者を看るICU(集中治療室)・CCU(冠疾患集中治療室)等では、「月9日以上」の夜勤が42.1%で昨年度(40.4%)を上回る深刻な実態がうかがえる。
「4交替」職場でも4割近くが「月4.5回以上」の夜勤に従事
「2交替」職場の平均夜勤回数は、昨年度(4.09回)とほぼ同じ4.11回。2交替職場の夜勤回数は、2009年までは3回台で推移していたが、2010年に4.19回となり、以降4回台が続いている。
夜勤回数別の割合は、「月4回以内」が63.0%だったのに対し、「月4.5回以上」は37.0%だった。「月4.5回以上」の割合は昨年(38.5%)より減少したものの、3交替職場同様、ICU・CCU等での「月4.5回以上」の夜勤割合(59.1%)の高さが目を引く。
なお、病棟の夜勤専門看護師の割合は18.7%。ここ数年増加が続き、2018年度調査(8.7%)から10ポイントも増えている。日本医労連では、「夜勤人員の不足が続くなかで、夜勤専門看護師に頼らなければ夜勤体制の維持・管理ができない状況が推察される」としている。
勤務間の休息は4割の施設で「8時間未満」
一方、勤務間隔については、「8時間未満」の割合が39.1%におよび、「12時間未満」も53.9%と高い。
「働き方改革関連法」に基づき2019年に改正された「労働時間等設定改善法」では、勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務として規定されているが、インターバル協定の有無をみると、「有」は19.9%と約2割。締結した協定の勤務間隔についても、「12時間以上」が7割強を占め、そのうち18.4%は「16時間以上」となっている。
さらに、労使間でひと月単位を基準に夜勤に関する制限を定める「夜勤協定」も、「有」が65.7%、「無」が34.3%。回答のあった3分の1を超える施設で夜勤に関するルールが定められていないことがわかる。
「医療提供体制を守るには看護職員の早急な労働環境改善が必須」(佐々木委員長)
佐々木委員長は同日開いた会見で、1回の労働時間が16時間にもおよぶ長時間夜勤を行っている看護職員が全体の5割近くになったことや、次の勤務までの間隔が8時間未満の勤務を余儀なくされている看護職員が約4割いることなどに言及したうえで、「夜勤が必須の病院での働き方が厳しくて働き続けられなくなっているのではないか」などと指摘。「医療提供体制を守るためにはそこで働く看護職員の早急な労働環境の改善が必須だ」と述べ、職員の増員と処遇改善の必要性を訴えた。
調査は、医療機関で働く看護職員等の「夜勤・長時間労働の実態を把握し、増員・夜勤改善・労働時間規制など働き続けられる職場づくりに活用する」ことを目的に毎年実施しているもの。今年度は324施設2,472職場、看護職員9万153人、看護要員11万646人の回答を集約した。勤務状況については2025年6月の実績に基づいている。


