月3万3,000円以上・時給250円以上を提示/国民春闘共闘委の26春闘方針第一次案

2025年12月12日 調査部

全労連などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:秋山正臣全労連議長)は11月26、27の両日、都内で春闘討論集会を開き、2026年の国民春闘方針(第一次案)を討議した。賃上げ要求基準は、前年の要求より月額で1,000円、時給も50円高い「月額3万3,000円以上・約10%以上、時間額250円以上・約17%以上」を掲げている。方針は年明けに正式決定する。

労使の力関係を対等にして賃金が上がる国への転換をめざす

方針第一次案は、24・25春闘で賃上げの流れを作り出したものの「実質賃金をプラスに転換することができず労働者の賃上げ実感を得ることができていない」と指摘。「労使の力関係で決まる賃金原則の形骸化に歯止めをかけ、たたかう労働組合への求心力を高める流れをつくり出すことが必要なとき」だとして、「どの職場でも『賃上げ交渉が必要だ』という世論を広げるとともに、ストライキなどで果敢にたたかう労働組合を増やしていく」ことで、労使の力関係を対等にして賃金が上がる国への転換をめざす姿勢を強調している。

最低賃金は「いますぐ全国一律1,700円以上」

賃上げの要求基準は、「月額3万3,000円以上・約10%以上(要求額を率換算)、時間額250円以上・約17%以上(同)」を提示した。春闘共闘によると、月額要求は、国民春闘アンケートの集計結果(11月5日の第一次集計の賃上げ要求額の平均額3万2,194円)に、不足していると答えた賃金額が前年を801円上回っていることなどを踏まえて月額3万3,000 円とした。率換算では、2024年の賃金構造基本統計調査の平均賃金が33万400 円だったことから、前年と同規模の「前年比10%以上」を求める。

時間額要求については、後述するように「最低賃金要求1,700円以上」を示したことから、賃金構造統計調査の短時間労働者の平均賃金1,476円(男性1,699円、女性1,353円)に不足する約250円を要求する。

最低賃金要求については、「いますぐ全国一律1,700円以上、めざせ2,000円」とすることを提案した。国民春闘共闘によると、第一次案策定までは、「職場での議論不足がある」「1,500円にも達していない」との意見も強くあるなかで、「いますぐ全国一律1,500円以上、めざせ2,000円」を明示して議論してきたという。方針第一次案は、「最低賃金発効日の遅延・分散化の問題もあり、『1,500円ですら遠く真剣になれない』などの意見はいまも多数ある」としながらも、物価高騰を踏まえた最低生計費試算調査結果を基に、「およそ時間額1,700円以上(月労働時間150時間での年収は306万円)なければ人間らしい生活はできない」と結論づけた。

なお、企業内最低賃金についても、最低賃金要求(案)の「時間額1,700円以上」の水準を下回ることはできないとして、「時間額1,700円以上、月額25万5,000円以上」を掲げている。

5月1日メーデーを国民の祝日に

さらに、労働時間・働き方の要求基準は前年同様、① 所定労働時間を1日7時間、週35時間をめざす ② 時間外労働の上限は、週15時間、月45時間、年360時間までとするために、36協定の特別条項を廃止する ③ 勤務時間インターバルを24時間について連続する11時間以上とする ④ 深夜勤務や変則勤務、対人労働の場合は、労働時間を短縮する――といった要求基準を列記。さらに今春闘では、「5月1日メーデーを国民の祝日にするよう求める」ことを新たに設定した。「労働者の働く権利と生活を守る記念日として祝日法の改正を求める」とともに、「それぞれの職場でも、メーデー参加の勤務免除を求める要求、休日とする要求を同時に求めていくことを呼びかける」としている。

ケア労働者の労働相談や公定価格の抜本的な引き上げも

こうした要求の実現に向けて、26春闘では、ストライキや統一闘争強化などの「たたかう労働組合のバージョンアップ」を継続的に実践することで、① 要求の求心力で仲間を増やす ② ストでたたかえる組織になる ③ 統一闘争への結集で力を合わせられる組織になる――ことをめざす。生計費原則に基づく賃上げ要求を練り上げ、要求の提出、ストを背景にしたたたかいを広げて、「『職場での労使交渉による賃上げ』と『社会的な賃金闘争(最低賃金、公契約、公務員やケア労働者の賃上げ)」をともに前進させ労働組合主導の賃上げ闘争」を展開する。

ケア労働者の賃上げにも言及。方針第一次案は、25 年春闘で「他産業では1万円を超える賃上げとなっているなか、医療職では6,470 円と極端に低い」「介護職に限っては、日本医労連の最終集計で4,510円(改定率1.92%)と極めて低水準」などと指摘して、ケア労働者の労働相談ホットラインや、公定価格の抜本的な引き上げを求める取り組みの検討を明記している。

今後、さらに議論を深め、意見集約の上、来年1月16日の単産・地方代表者会議で2026国民春闘方針を正式決定する予定。