単純平均7,499円、2.79%/国民春闘共闘委員会の第1回賃上げ集計

2025年3月26日 調査部

全労連や中立組合などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:秋山正臣全労連議長)は3月14日、2025春闘の第1回賃上げ集計結果を公表した。それによると、13日時点で359組合が回答を引き出し、有額回答のあった227組合の単純平均は7,499円、率は2.79%。25年ぶりの高水準だった24春闘の初回集計(7,513円)より微減したものの、ほぼ同水準でスタートを切った。

国民春闘共闘は今春の賃上げ交渉で、「実質賃金と2020年からの物価高騰が続くもとで、生活を支えるうえで最低限必要」な賃上げとして、「月額3万2,000円以上、時間額200円以上、10%以上」の統一要求を掲げている。

加重平均は7,028円、2.70%

集計結果をみると、13日時点で回答を引き出したのは359組合(昨年同期383組合)。このうち、有額回答は227組合で、単純平均(組合平均)は7,499円、率では2.79%となった。額は昨年の同時期より14円下がったが、率では0.06ポイント上回った。額、率ともに1999年以来、最も高水準だった前年の初回集計とほぼ同水準。加重平均(組合員平均)では7,028円(前年同期比419円マイナス)、率で2.70%(同0.18ポイントプラス)となっている。

前年実績と比較が可能な196組合についてみると、単純平均は7,765円(昨年8,611円)で前年実績を846円下回った。一方、率が比較できる142組合の賃上げ率は2.91%(同3.08%)で、こちらも前年同期に比べ0.17ポイント低い。前年実績を超える回答を引き出しているのは、額で82組合・41.8%、賃上げ率も64組合、45.1%と、4割台にとどまっている。

製造業やマスコミ関係を中心に66組合が5桁回答を獲得

各単産の動向をみると、JMITU(32組合)や出版労連(11組合)、化学一般労連(8組合)など66組合(前年同期55組合)が5桁の回答を引き出している。産業別の回答状況(単純平均)では、製造業(9,900円)の高さが際立つほか、卸売・小売業(7,786円)やマスコミ・出版(7,506円)、社会福祉・介護(7,007円)も7,000円台をキープしている。その一方で、医療は5,411円と「昨年より厳しい回答状況」。国民春闘共闘によると、「建交労・運輸でも昨年実績と比較可能な23組合の単純平均が2,267円減となっている」など、産業間で水準にバラつきが出ているという。

時給引き上げ額は44.2円

一方、非正規労働者の賃上げ状況については、6単産77組合から214件の報告が寄せられている。時給制では132件の報告があり、そのうち引き上げ額が判明している109件の単純平均は44.2円(前年同期41.4円)。月給制の引き上げ額は35件の単純平均で6,045円(同5,493円)だった。

なお、再雇用・継続雇用者の賃上げ状況は時給制(19件)で47.2円、月給制(21件)は6,979円となっている。

「個別企業の業績反映が強められバラつきが目立つ結果」(黒沢幸一事務局長)

こうした状況を踏まえ、国民春闘共闘の黒沢幸一事務局長(全労連事務局長)は、「全体として、労働者の生活を守るための賃上げ回答ではなく、同じ企業規模や産業のなかでも、個別企業の業績反映が強められバラつきが目立つ結果となっている。また、賃上げ原資を初任給や若年層の賃上げに振り向け、全体の底上げを図らない対応や、成果配分によって全ての労働者の賃上げを行わない対応が図られている。そのため、一部の労働者の賃上げにとどまり、労働者間の分断と競争が一層強められている」などと解説。「25春闘はこれからが重要。納得いく回答が得られるまでたたかいぬく」姿勢を強調した。