日本製鉄以外の大手が満額以上で決着/基幹労連大手組合のヤマ場回答
2025年3月26日 調査部
鉄鋼、造船・重機、非鉄などの労組で構成する基幹労連(津村正男委員長)に加盟する大手労組の賃上げ交渉は、賃金改善の満額回答が相次いだ。総合(大手)組合の月額1万5,000円の賃金改善要求に対し、鉄鋼は、JFEスチールと神戸製鋼が満額で応えた一方、日本製鉄は要求より3,000円低い1万2,000円を回答し、昨年に続いて3社の横並びが崩れた。総合重工は、7社中6社が満額回答で決着。三井E&Sは、会社から満額超えの1万8,000円が示された。非鉄総合も5社全てが要求通りの賃金改善で妥結している。
日本製鉄は1万2,000円、JFEスチールと神戸製鋼は満額で決着
総合(大手)組合の1万5,000円の要求に対する回答状況をみると、鉄鋼は2025年度の賃金改善について、日本製鉄が要求を3,000円下回る1万2,000円、JFEスチールと神戸製鋼はそれぞれ1万5,000円の回答を受けて満額で決着した。
重工6社が満額回答、三井E&Sは要求超えの1万8,000円
総合重工では、三菱重工、川崎重工、IHI、住友重機械、三井E&S、キャタピラー日本(製造)、カナデビア(旧日立造船)の各労組の要求に対し、三井E&S以外の6社が要求通りの満額回答。三井E&S は要求超えの1万8,000円で妥結した。
非鉄大手5社も全て満額回答
非鉄総合の三菱マテリアル、住友金属鉱山、三井金属、DOWA、JX金属は、組合の1万5,000円の要求に、いずれも満額回答で応えた。
三菱重工とIHIの一時金は6.5カ月
一方、一時金については、鉄鋼3社は業績連動方式を採用。総合重工でも、川崎重工と三井E&Sが業績連動方式を採っている。それ以外では、三菱重工が6.50カ月、カナデビアが5.50カ月でともに満額決着。IHIは7.0カ月の要求に対し6.50カ月、住友重機械が5.6カ月の要求に5.30カ月で妥結した。キャタピラー日本(製造)は、「季節手当などに織り込み済」となっている。非鉄総合は、住友金属鉱山を除く4社は業績連動方式。交渉方式を採る住友金属鉱山は、185万円の要求に対し170万円で折り合った。
「先行組合の回答を継続組合の成果に波及させることが重要」(津村委員長)
基幹労連は、今春闘での定期昇給を除く賃金改善の統一した要求水準を「1万5,000円」に設定した。さらに、グループ関連組合や中小組合などが取り組む「格差改善」では、1万5,000円に加えて、「平均賃金の1%」を改善額の目安に提示。基幹労連全体で要求額をそろえ、賃金水準の底上げを目指す姿勢を強調した。
12日時点での要求状況について、津村委員長は金属労協および連合・金属共闘連絡会議の会見で「賃金改善は258組合が要求しており、そのうち、179組合が1万5,000円に格差改善分を上乗せして要求している。258組合の要求の単純平均は1万7,491円。格差改善分を要求している179組合の平均は3,705円で、要求段階では産別方針に沿って取り組んでいる」などと説明。そのうえで、総合組合の回答に触れて「先行する組合の回答を土台にしながら継続する業種別組合に具体的な成果が引き出せるように波及させていくことが重要だ」などと述べ、格差改善分の獲得に向けた取り組みを強化していく姿勢を示した。