実効ある「学校の働き方改革」を求める運動を強化/日教組中央委員会
2025年3月19日 調査部
日教組(梶原貴委員長、19万6,000人)は14日、都内で中央委員会を開き、運動を進めるにあたっての「当面の取り組み」を確認した。取り組み方針は、教職員等の賃金改善や長時間労働の是正、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた対応などの労働政策を提示。梶原委員長は、学校の働き方改革の実現に向けて「業務削減、人員増、給特法の廃止・抜本的見直しの3本柱を求めていく」などと述べ、実効ある取り組みの推進を訴えた。
教職員等の勤務実態をふまえた賃金改善を
当面の取り組みは、 ① 教育政策 ② 教育行財政政策 ③ 労働政策 ④ 福祉・社会保障政策 ⑤ 男女平等政策 ⑥ 組織政策――の6本の柱を掲げている。
そのうち、労働政策に関しては、教職員等の賃金改善について「25人事院勧告にむけ、公務員の月例給・一時金の引上げ等を求めとりくむ」ことや、「公教育の社会的重要性に応える人員の確保と、教職員が専門性を発揮し、意欲を持って働くことができるよう、教職員の勤務実態をふまえた賃金に改善すること等を求める」などの方針を示している。
具体的には、「人材確保法(学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法)等の趣旨をふまえた水準の維持・改善」に加え、特殊勤務手当をはじめとする諸手当の「勤務実態をふまえた改善を行う」ことを要求。事務職員や学校栄養職員などの「賃金・労働条件の維持・改善にとりくむ」ほか、再任用職員の「定年前職員との均衡等を考慮した給与制度等の改善見直し」や、臨時・非常勤教職員の処遇改善なども求める。
「業務の3分類」にもとづく移行の推進やハラスメント対策の整備も
時間労働の是正とワーク・ライフ・バランスを実現する取り組みには、「業務削減、教職員定数改善、給特法の廃止・抜本的な見直しにむけた国会対策を強化する」ことに加え、「職場全体での36協定締結・遵守」や「労働安全衛生の確立・強化」に取り組むことなどを明記。2019年の中央教育審議会答申で示された、いわゆる「学校・教師が担う業務に係る3分類」にも触れ、「『業務の3分類』にもとづき、文科省の責任において業務の移行をすすめるよう要請・協議する」とした。
さらに、権利確立の取り組みでは、職場のハラスメントを防止するために、単組・支部が「必要なパワハラ対策、セクハラ等の防止措置、各種ハラスメントの周知や研修、相談窓口の設置などの整備について教委に求める」などとしている。
「業務削減、人員増、給特法廃止・抜本的見直しの3本柱を求めていく」(梶原委員長)
梶原委員長はあいさつで、第217回通常国会で審議が予定されている「公立の義務教育諸学校等における教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」等の改正法案について、「学校の働き方改革を進めるといいながら、一向に進まない『3分類の推進』や『取り組み状況の公表』をうたっている。現状、どれも予算措置や罰則があるわけでもなく、実効性の乏しい内容で、現場実態を変えようとする本気度が感じられない」などと批判したうえで、「十分な審議時間を確保する」必要性を強調。「現場が実感できる働き方改革の実現に向けて、引き続き業務削減、人員増、給特法の廃止・抜本的見直しの3本柱を求めていく」などと訴えた。
また、中央委員会では、「現場が必要としている働き方改革が推進されるよう、実効性ある施策を勝ち取らなければならない」などとする特別決議を採択した。