2交替夜勤を実施する介護施設の8割超が16時間以上の長時間勤務を実施/日本医労連調査

2025年3月5日 調査部

日本医労連(佐々木悦子委員長、約14万2,000人)は2月17日、「2024年介護施設夜勤実態調査」の結果を公表した。2交替夜勤を導入する施設は88.4%。そのうち、勤務時間が16時間を超える割合が8割強を占める。また、2交替制職場の3分の2で1人体制の夜勤を行っているなど、調査結果からは介護施設で夜勤に従事する職員の過酷な労働実態が浮き彫りになった。

全体の88.4%が2交替制夜勤を導入

調査結果によると、2交替制勤務による夜勤(2交替夜勤)を導入する施設は88.4%。2交替夜勤は2013年の本調査開始当初から、おおむね80%台後半から90%台前半の高水準で推移している。そのほか、「3交替」は5.4%、「変則3交替」(通常の3交替夜勤の入り時間を前倒しする勤務)が3.6%、「2交替・3交替の混合」が1.8%、「当直と2交替の混合」が0.9%。3交替制夜勤(「3交替制」と「変則3交替制」の合計)は9%となっている。

また、2交替夜勤を実施する施設の84.8%(全回答施設における75.0%)が16時間以上の長時間勤務を実施している。2交替(16時間以上)の割合を業態別にみると、グループホームの実施割合が特に高く92.0%。次いで、介護老人保健施設(82.1%)、特別養護老人ホーム(68.8%)などの順だった。2交替夜勤について、日本医労連では「多くの場合で16時間前後の長時間夜勤になるため、労働負担が大きくなる」ことを懸念している。

6割程度にとどまる夜勤の上限回数を定めた協定の締結割合

なお、看護師は、1992年に制定された看護人材確保法の基本指針(看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針)で、離職防止対策・夜勤負担軽減のために、3交替制の場合は「複数を主として月8回以内の夜勤体制の構築」を掲げているが、介護職には同様の規制がない。そこで、ひと月当たりの夜勤日数をみると、2交替夜勤を実施する施設では、42.2%が月4回を超える夜勤を実施。3交替制の施設も6.2%が9日以上の夜勤を行っていた。

こうした状況を改善するには、労働組合が主体的に施設と協議し、独自に上限回数の協定(夜勤協定)を結ぶことで夜勤従事者の負担軽減を図ることが重要になる。しかし、今回調査で夜勤協定を締結している割合は62.0%と、昨年(64.5%)を2.5ポイント下回る結果となった。この点について、日本医労連は「この間の調査で締結率は5~6割程度となっていたことを鑑みれば、協定を単年度のものとせず、恒久的に確実なものにしていくことが求められる」などとしている。

2交替制職場の3分の2で1人体制の夜勤を実施

一方、職場単位の夜勤配置をみると、2交替夜勤を実施する職場のうち、複数人体制を取れているのは全体の32.9%。残りの67.1%は1人体制(ワンオペ)での夜勤を実施していた。業態別では、グループホームや小規模多機能型居宅介護施設・看護小規模多機能型居宅介護施設ではすべての職場が1人体制。特別養護老人ホームも回答職場の68.0%が1人体制で夜勤を行っていた。

調査は、日本医労連傘下の労働組合がある介護施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、小規模多機能型居宅介護施設・看護小規模多機能型居宅介護施設、短期入所施設、介護医療院)を対象に、昨年6月の実績を尋ねたもの。2013年より毎年実施しており、今年は121施設176職場の総職員数3,131人(介護職員74.0%、看護職員17.2%、その他職員8.8%)の勤務実態についての回答をまとめた。