金属労協全体の賃上げ要求額の平均は1万4,149円で、2014年以降の最高水準に/金属労協の2025闘争要求状況

2025年3月5日 調査部

自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、全電線の5つの産業別労組でつくる金属労協(JCM、金子晃浩議長)は2月27日、2025闘争の要求状況を公表した。ベースアップ等の賃上げ(賃金改善分)を要求する組合における要求額の平均は、金属労協全体で1万4,149円、集中回答日に回答を引き出す大手の集計対象組合に絞ると1万5,556円にのぼり、それぞれベア・賃金改善が復活した2014年闘争以降の最高水準となった。

昨年同時期の集計結果を1,700円超上回る

金属労協が集中回答日に設定した3月12日に回答を引き出す、大手労組で構成された集計対象組合(53組合)の2月25日現在での要求状況をみると、賃上げ(賃金改善分)を要求したのは52組合で、要求額の単純平均は1万5,556円。昨年の最終結果1万4,975円を上回り、ベアや賃金改善が復活した2014年以降で最高の水準となっている。

全体集計でみると、構成組合(3,050組合)のうち1,416組合が賃金についての要求を提出しており、そのうち1,263組合(対要求組合比89.2%)が賃上げを要求している。賃上げ要求額の平均は1万4,149円で、ほぼ昨年同期にあたる昨年2月末の集計結果1万2,392円を1,757円上回るとともに、2014年以降で最高となった。

全体集計で組合規模別に賃上げ要求額の平均をみると、「1,000人以上」(賃金改善要求組合数179組合)が1万4,680円、「300~999人」(同316組合)が1万4,524円、「299人以下」(同768組合)が1万3,856円となり、すべての規模で2014年以降最も高い要求水準となった。昨年同期の集計結果と比べると「1,000人以上」は1,422円増、「300~999人」は1,324円増、「299人以下」は1,996円増となっており、特に「299人以下」の組合で上げ幅が大きくなっている。

電機連合や基幹労連の平均要求額は1万7,000円台

2月27日時点での要求状況を産別ごとにみると、要求を提出済みの組合数は、自動車総連が1,098構成組合のうち488組合、電機連合が179構成組合のうち57組合、JAMが1,443構成組合のうち679組合、基幹労連が292構成組合のうち155組合、全電線が38構成組合のうち37組合にのぼっている。賃上げ要求額の平均は、自動車総連が1万2,520円、電機連合が1万7,095円、JAMが1万4,223円、基幹労連が1万7,340円、全電線が1万6,595円となっている。

それぞれの産別組織で、賃上げ要求額の平均を組合規模別にみた結果では、JAMで「組合員300~999人」が1万4,876円と、「組合員1,000人以上」(1万4,417円)を459円上回るほか、基幹労連でも「組合員299人以下」が1万7,526円、「組合員300~999人」が1万7,798円にのぼり、「組合員1,000人以上」(1万6,034円)より1,500円以上高い要求額となるなど、格差是正に向けた要求水準となっていることがうかがえた。

「当初の目的・狙いに沿って各構成組織が要求」と評価(金子議長)

金属労協が2月27日に開いた第4回戦術委員会の確認事項は、交渉序盤における経営側の姿勢について、「経営側は、物価上昇への対応や、働き手のエンゲージメント向上などの観点から、『人への投資』の重要性を意識した対応が必要との認識を示し、組合側の主張について一定の理解を示している」などとしている。

同日の記者会見で金子議長(自動車総連会長)は、規模間格差を是正する趣旨も含め、今春闘における要求基準を前年闘争方針から2,000円引き上げ、「すべての組合で1万2,000円以上」としたことに触れ、「当初考えていた目的・狙いに沿って、各構成組織が真摯な議論の下で構築し、要求に至っている」と評価。「賃上げを獲得し、それを金属産業全体に波及させ、さらに日本経済の好循環を安定的なものにしていくために、今年の取り組みは非常に重要」として、今後の交渉も精力的に取り組んでいく姿勢を強調した。