SUBARUでは総額での賃上げ要求額が2万円を超える/自動車大手労組が要求提出

2025年2月19日 調査部

自動車総連(金子晃浩会長、78万1,000人)に加盟するメーカー部会の大手12組合は12日、揃って「2025年総合生活改善の取り組み」に関する要求書を経営側に提出した。SUBARU労組は、平均賃金要求で昨年を2,700円上回る総額2万1,000円を要求。昨年、この時期での賃金改善分の要求を見送ったダイハツ労組も、「2万1,200円+賃金課題解決原資」と2万円を超える水準を求めている。一時金要求では、トヨタ労組が昨年に続き7.6カ月を要求した。

平均賃金要求は本田が1万9,500円、三菱が1万9,000円を掲げる

メーカー部会の大手12組合は、完成車メーカー11組織と部品・車体部門を代表する部品メーカー1組織で構成(部品メーカーは入れ替わり制)。完成車メーカーはトヨタ、日産、本田技研、マツダ、三菱自工、スズキ、SUBARU、ダイハツ、いすゞ、日野、ヤマハ発動機。部品メーカーは2024年から2年連続で日本特殊陶業という顔ぶれとなっている(いずれも組合名)。

自動車総連が公表した12組合の要求内容をみていくと、平均賃金要求では、日産労組は総額で「平均賃金改定原資1万8,000円」で、昨年要求と同水準(賃金改善分だけでの額は公表していない)。本田技研労組は昨年要求を500円下回る1万9,500円(同)、マツダ労組は昨年要求を2,000円上回る1万8,000円(同)、三菱自工労組は昨年要求を1,000円下回る1万9,000円(同)となっている。

スズキ労組は「賃金制度維持分(昇給制度維持)に人への投資を加えた賃金引き上げ」として「組合員一人平均1万9,000円」としており、昨年要求を2,000円下回っている。一方SUBARU労組は昨年要求を2,700円上回る2万1,000円(同)、ダイハツ労組は、昨年はこの時期での賃金改善分の要求を見送ったが、今年は「2万1,200円+賃金課題解決原資」を要求した。

そのほか、いすゞ労組は「賃金カーブ維持分+人への投資」で「一人平均1万9,000円」としており、昨年要求と同水準。日野労組は昨年要求より1,200円高い1万8,000円(同)、ヤマハ発動機労組は昨年要求より2,600円高い2万円(同)、日本特殊陶業労組は昨年要求より2.300円高い1万9,000円(同)と、いずれも高い水準となっている。

メーカー部会大手11組合の要求額の平均は1万9,245円で前年より900円超アップ

トヨタ労組の平均賃金での要求内容は、公式的には非公開。個別賃金での要求水準は、「若手技能職」が35万2,540円、「中堅技能職」が42万6,000円で、「技能職EX級 技能3等級」が45万5,670円となっている。

自動車総連によると、トヨタ労組を除くメーカー部会の大手11組合の要求額の平均は1万9,245円で、昨年(1万8,320円)よりも925円高くなっている。

一時金はトヨタが前年と同水準の7.6カ月を要求

一時金の要求額は、トヨタ労組が過去最高となった昨年と同水準の7.6カ月、日産労組が同0.6カ月下回る5.2カ月、本田技研労組が同0.2カ月下回る「5.0+1.9カ月」、マツダ労組が同0.2カ月下回る5.4カ月、三菱自工労組が同0.6カ月下回る5.7カ月となっている。

一方、スズキ労組は6.6カ月と、昨年要求から0.4カ月引き上げた。SUBARU労組も同0.3カ月上回る「5.0+1.3カ月」、ダイハツ労組も同0.4カ月上回る5.4カ月を要求している。

そのほか、いすゞ労組は昨年と同水準の「5.0+1.0カ月」、日野労組も昨年と同水準の5.0カ月を要求。ヤマハ発動機労組は昨年を0.3カ月下回る6.2カ月としている。日本特殊陶業労組は「業績連動」としている。

「規模間格差の拡大への歯止めと全組合員に対する賃上げをやり遂げたい」(金子会長)

このほか、非正規雇用で働く仲間に関する取り組みでは、三菱自工労組が賃金改善分として時給制80円、月給制1万3,000円を要求。また、自動車総連が注力する取り組みである年間休日数の引き上げについても、スズキ労組で「『2027年までに年間休日数の5日増』も意識した協議を行う」など、各労組で取り組む姿勢が示されている。

金子会長は「日本の国力や産業の魅力を高め、働く者のやりがい・生きがいを向上させていく観点からも、賃金を中心とした人への投資をしっかりとした水準で行うことで、この閉塞した状況をなんとしても打破し、恒常的な好循環の流れに寄与させる取り組みにしていきたい」と強調。また、自動車総連が課題として挙げる「規模間格差の拡大への歯止めと、物価上昇に見合うだけの賃上げを全ての組合員に対して行うことをなんとしてもやり遂げたい」と訴えた。