「月3万2,000円以上、時給200円以上(10%以上)」の賃上げを求める/国民春闘共闘の春闘方針
2025年1月22日 調査部
全労連や中立労組などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:秋山正臣全労連議長)は16日、都内で第1回単産・地方代表者会議をオンラインとの併用で開き、2025年の国民春闘方針を確認した。賃上げ要求基準として、「月3万2,000円以上、時給200円以上(10%以上)」の賃上げを求める。要求は24春闘より月額で2,000円、時給も10円増額した。また、企業内最低賃金は前年と同じ「時給1,500円以上、月22万5,000円以上」を掲げている。
「賃金が下がり続ける国から上がる国への転換」を大目標に
国民春闘共闘委員会は25春闘で「賃金が下がり続ける国から上がる国への転換」を大目標に掲げ、「物価の高騰を補うだけでなく、さらに生活改善につながるベースアップをめざす」方針を示した。24春闘での賃上げや最低賃金の引き上げ、人事院勧告での高水準の賃上げの流れを「さらに強く、大きくしていく」姿勢を強調。「使用者都合の『賃上げ』では、『若年層と中高年層』『正規労働者と非正規労働者』など、格差と分断を広げることになる」と指摘したうえで、「すべての仲間の賃上げを実現する『労働組合主導のたたかい』をすすめる」考えを打ち出した。特に「より困難を強いられる非正規労働者や差別的な低賃金に置かれる女性労働者の賃上げを重視」するとしている。
最低規制を強める要求を前面に掲げる
賃上げ要求では、「最低規制を強める要求を前面に掲げてたたかう」ことに焦点を定め、最低賃金の全国一律制の実現や、非正規労働者などの低賃金労働者の賃金底上げ、格差の是正、均等待遇を求めていく構え。具体的な要求基準は、24春闘より月額で2,000円、時給も10円高い「月3万2,000円以上・時給200円以上(10%以上)」を設定した。企業内最低賃金は前年同様、「時給1,500円以上、月22万5,000円以上」を求める。また、法定最低賃金要求は「いますぐ全国一律1,500円、めざせ1,700円」とする。
所定労働時間を1日7時間、週35時間に
さらに、労働時間・働き方についても、「人間らしい生活、自分で自由に使える時間を確保する」ために、① 所定労働時間を1日7時間、週35時間をめざす ② 時間外労働の上限は、週15時間、月45時間、年360時間までとするために、36協定の特別条項を廃止する ③ 勤務時間インターバルを24時間について連続する11時間以上とする ④ 深夜勤務や変則勤務、対人労働の場合は、労働時間を短縮する――といった4つの要求基準を列記している。
ストライキを背景に「労働組合主導のたたかい」を進める
方針は、ストライキを背景に賃上げ交渉を行う重要性も指摘。24春闘でストライキを決行した組合の事例交流などで、「ストに対する不安や疑問を解消し、すべての職場でスト権を確立し、ストを構えたたたかいに取り組むよう」議論を呼びかけていく考えを示した。「労働組合主導のたたかい」を進めるには、「ストライキなど高い交渉力をもって、対等な労使関係を築き、賃上げを迫ることが必要だ」と主張。賃上げが困難な企業に対しても、「どうすれば賃上げできる経営となるのか、その展望を労働者・労働組合に示すよう求める」などとして、「ストライキを軸に、交渉力を高める戦術議論と実践をつくる」ことを強調している。
集中回答日は3月12日
方針は、集中回答日を3月12日に設定。翌13日にはストライキをはじめとする全国統一行動を行う。23春闘から取り組んでいる賃上げ回答速報のネット番組(YouTube Live)は、第1弾を3月13日に実施。さらに、今年は第2弾として4月11日にも「粘り強くたたかう仲間達のネット特番」を放送し、現場からの参加を呼びかける予定。