会計年度任用職員の再任用の上限見直しの検討状況を調査/自治労連

2025年1月15日 調査部

自治労連(桜井眞吾委員長、11万5,000人)は12月26日、会計年度任用職員の再任用の上限回数について自治体の検討状況等を聞いた調査の結果を発表した。調査結果からは、約7割の自治体が上限を既になくしていたり、検討を進めているなどの実態が明らかになった。一方、今年度の賃上げについても、回答した自治体の約8割が4月にさかのぼって改定したことがわかった。

会計年度任用職員は、地方公務員法の改正により2020年4月1日から導入された非常勤職員。任期は一会計年度(4月1日から翌年3月31日)を超えない範囲内で、再任用(更新)については原則、最大2回までとする自治体が多く、その場合、2回の再任用を終えた後も働き続けるためには、再度求人に応募し、選考を経て採用される必要があった。こうしたなか、人事院が昨年6月28日に、国の非常勤職員のうち、期間業務職員の採用についての通知文書に、公募に依らない再採用の上限回数を「原則2回までとするよう努めること」としていた取り扱いの制限を削除。この改正を受けて、総務省も同日、「会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル」から、例示していた国の取り扱いを削除して、「具体の取扱いについては、各地方公共団体において、平等取扱いの原則及び成績主義を踏まえ、地域の実情等に応じつつ適切に対処されたい」との通知を出した経緯がある。

調査は、地方自治体が「再任用の上限回数」を見直すか否か等、会計年度任用職員の公募制度の実態を把握する目的で2024年10月29日から12月6日にかけて実施。自治労連の構成組織を通じて、31都道府県の484自治体からの回答をまとめた。

再任用の上限廃止に向けた検討が進む

調査結果によると、「再度の任用上限(公募)見直し」について、回答のあった401自治体のうち、「もともと上限なし」(25.9%)と「廃止済」(16.0%)と回答した自治体はあわせて41.9%。これに「検討中」(19.7%)と「今後検討予定」(7.7%)もプラスすると約7割(69.3%)となり、「廃止および廃止を視野に入れた動きが広がっている」(自治労連)様子がうかがえる。ただし、「見直す予定なし」の回答も23.7%あった。

国や近隣自治体の動向を気にする傾向が

そこで、「検討中」もしくは「今後検討予定」と回答した自治体に、その理由を尋ねたところ、「近隣自治体が廃止」(45.6%)が半数近くを占めてトップ。次いで「国が廃止方向」(36.8%)が多かった。近隣の自治体や国の動向を気にする傾向が見て取れる。同様に「見直す予定なし」と答えた自治体にも理由を聞くと、「年数や回数制限は必要」(26.8%)や「採用の公平性維持」、「その他」(ともに22.0%)の回答が上位だった。「その他」の主な理由は、「優秀者確保のため」「平等取り扱いと成績主義に反する」「公務として広く市民に雇用の機会を提供するため」「確保困難な専門職種は5年を超えて任用している」などがあげられている。

約8割の自治体が4月遡及改定

一方、調査は、会計年度任用職員の給与改定の4月遡及状況についても尋ねている。地方自治体の職員の賃金改定は、人事院勧告を踏まえて都道府県等に置かれている人事委員会の勧告などに基づき、年度後半期に実施される。その際、正規職員の賃金改定は4月に遡って実施されることから、会計年度任用職員への給与改定の対応状況を見るのが狙い。

それによると、「4月遡及改定」とした自治体は全体(377自治体)の79.3%と、約8割にのぼった。次いで多かったのは、「遡及はせず2025年度から改定」の13.0%。他方、4月遡及に否定的な「改定しない」との回答は2.1%にとどまった。なお、勤勉手当の支給状況も、「正規職員と同じ月数」と答えた自治体が全体(307自治体)の約8割(79.2%)を占めている。

参考までに、自治労連が2024年6月に発表した「会計年度任用職員の勤勉手当および給与改定の4月遡及状況調査」では、「2024年度に正規職員に準じた給与改定の4月遡及を行うか」の問いに対し、この段階で4月遡及を実施する意向を示した自治体は68.2%だった。今回の結果は、それを上回った格好だ。