2交替病棟の割合が50%を超えて過去最高を更新/日本医労連調査

2024年12月20日 調査部

日本医労連(佐々木悦子委員長、14万2,000人)は12日、2024年度の夜勤実態調査を発表した。それによると、8時間以上の長時間勤務が前提となる「2交替」病棟の割合が50.7%とはじめて50%を超えて、過去最高を更新。「2交替」職場の約半数では、16時間以上の長時間夜勤が行われていた。「3交替」職場でも、4分の1強で「月9日以上」の夜勤に従事しているなど、調査結果からは、看護職員・看護要員の過酷な労働実態が浮き彫りになっている。

2交替病棟の半数で16時間以上の長時間夜勤

調査結果によると、「2交替」病棟の割合は50.7%となり、昨年度(48.4%)より2.3ポイント増加し、過去最高を更新した。一方、「3交替」病棟の割合は前年度(51.6%)から2.3ポイント減の49.3%となり、調査開始以来、初めて「2交替」病棟の割合が「3交替」病棟を上回った。

また、2交替病棟での「16時間以上」の長時間夜勤は、病棟数の51.3%、看護職員数の49.4%となり、こちらも昨年(病棟の50.0%、看護職員の48.1%)よりそれぞれ増加している。

3交替職場の4分の1強で夜勤日数が「月9日以上」

夜勤日数をみると、3交替職場の月あたりの平均夜勤日数は7.85日で、昨年(7.75日)より微増した。

夜勤回数については、1992年に制定された「看護師等の人材確保の促進に関する法律(看護人材確保法)」の基本指針(看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針)で、離職防止対策として夜勤負担の軽減をあげ、3交替制の場合、「複数を主として月8回以内の夜勤体制の構築」を位置づけた。昨年、約30年ぶりに改定された新たな基本指針でも、月8回以内の夜勤体制の構築に向けて、「引き続き積極的に努力することが必要」としている。しかし今回の調査では、その水準に収まる「月8日以内」が73.1%だったのに対し、「月9日以上」は26.9%と、昨年(27.5%)よりわずかに減少したものの、依然として全体の4分の1強が指針の水準を超える結果となった。なかでも、重篤・重症の急性期患者を看るICU(集中治療室)・CCU(冠疾患集中治療室)等では、「月9日以上」の夜勤が40.4%と、4割を超える状況になっている。

2交替職場でも4割近くが「月4.5回以上」の夜勤に従事

一方、2交替職場の平均夜勤回数は、過去最高だった昨年度(4.28回)より0.19回減り4.09回となった。2交替職場の夜勤回数は、2009年までは3回台で推移していたが、2010年に4.19日となり、以降4回台が続いている。

夜勤回数別の割合は、「月4回以内」が61.5%だったのに対し、「月4.5回以上」は38.5%だった。「月4.5回以上」の割合は昨年(39.4%)より0.9ポイント減少したものの、3交替職場同様、ICU・CCU等での「月4.5回以上」の夜勤(57.9%)の回数オーバーが目立つ。

勤務間の休息は「8時間未満」が37.5%に

勤務間隔については、「8時間未満」の割合が37.5%におよび、「12時間未満」も52.4%と高い。

また、「働き方改革関連法」に基づき2019年に改正された「労働時間等設定改善法」では、勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務として規定されているが、インターバル協定の有無についてみると、「有」は17.6%にとどまっている。

さらに、労使間でひと月単位を基準に夜勤に関する制限を定める「夜勤協定」も、「有」が71.3%、「無」が28.7%。協定のある割合は昨年(66.6%)より4.7ポイント増えたものの、まだ3割近い施設で夜勤に関するルールが定められていない。

「看護職員の増員と働き方改善が離職防止や医療提供体制の充実・強化につながる」(佐々木委員長)

調査結果をうけて、佐々木委員長は、「2交替」病棟の割合が昨年より増えて過去最高となっていることに言及したうえで、「2交替夜勤がふえる要因の一つに人員不足があるが、2交替にしたからといって一人あたりの夜勤回数が減るわけではない」と指摘。「長時間夜勤、回数オーバーの夜勤は看護職員の健康面に悪影響をおよぼすため、少なくない看護師が疲れ果て職場を去り、人員不足に拍車がかかっている」などと説明したうえで、「看護師を増やして働き方を改善することが離職防止につながり、それが医療提供体制の充実・強化にもつながる」と述べて、職員の増員と夜勤改善の必要性を訴えた。

調査は、医療機関で働く看護職員等の夜勤状況を全国的規模で把握する目的で毎年実施しているもの。今年度は350施設2,594職場、看護職員9万6,583人、看護要員12万203人の回答を集約した。勤務状況については2024年6月の実績を対象としている。