実質的な残業時間が平均で過労死ラインを大幅に超過/日教組調査

2024年12月20日 調査部

教員の実質的な月の残業時間は平均88時間36分で、いわゆる「過労死ライン」の80時間を大きく超えている――日教組(梶原貴委員長、19万6,000人)が11月29日に公表した今年の「学校現場の働き方改革に関する意識調査」で、こんな実態がわかった。調査結果からは、4割弱の教員が1日の休憩時間を「0分」と回答。管理職による勤務状況の把握も、平日は約8割が出退勤を把握しているが、土日祝日は半数程度にとどまっている。

平日1日の労働時間は平均11時間6分

調査結果によると、教員の勤務日(月~金)の学校内での在校等時間(教育職員が学校教育活動に関する業務を行っている時間)は1日平均で10時間23分。これに勤務日の自宅での仕事時間(全体平均で1日あたり43分)もあわせると、教員の1日の平均労働時間は11時間6分となり、前年(11時間24分)より18分短縮した。一方、週休日(土日)の在校等時間は1日平均1時間31分。週休日の自宅での仕事時間も1日平均で1時間11分あることから、週休日の1日の平均労働時間は2時間42分となり、前年(2時間55分)より13分の短縮となった。

週あたりの労働時間は平均で60時間54分

次に1週間あたりの労働時間をみると、全体平均で60時間54分(うち学校内54時間57分、自宅5時間57分)。学校種別では、中学校(65時間47分)が最も長く、次いで高等学校(59時間48分)、小学校(59時間43分)、特別支援学校(53時間10分)の順。昨年まで2番目に長かった小学校が、今回は前年より約2時間減らし、逆に高等学校は前年より約1時間長くなったために順位が逆転した格好。ただし、いずれの校種も所定労働時間の38時間45分(7時間45分×5日)を大きく上回っていることに変わりはない。

残業時間は月換算で88時間36分に

全体の一週間当たりの平均労働時間(60時間54分)から所定労働時間(38時間45分)を引いた時間外労働時間(22時間9分)を単純に4倍して月換算すると、月の平均残業時間は88時間36分。前年(96時間20分)より8時間ほど減っているものの、実質的な残業時間の月の平均値はいわゆる「過労死ライン」とされる80時間を大幅に超過する。さらに、最も労働時間の長かった中学校教員の月の残業時間は108時間8分におよんでいた。

37.5%が「休息を全く取れていない」

教員が実際にとれている休憩時間は極めて短い。1日の平均休憩時間は12.9分で、前年(12.7分)とほぼ変わらず。休憩を全く取れていない「0分」の人が37.5%で4割近くを占めたほか、「15分未満」(21.3%)や「15分以上30分未満」(20.3%)、「30分以上45分未満」(15.1%)もあわせると、全体の94.2%が45分未満となっている。

管理職による土日祝日の勤務状況の把握は半数にとどまる

一方、調査は、教職員の勤務の把握状況についても尋ねている。管理職による教職員の出勤、退勤時刻の把握状況をみると、「把握している」(79.2%)、「把握していない」(2.6%)、「把握しているかどうかわからない」(17.9%)となっており、約8割が出退勤時刻を把握している。ただし、土日祝日の学校勤務の把握状況を「把握している」管理職は50.9%と半数にとどまっており、「把握しているかどうかわからない」も33.5%と3分の1を占めた(「把握していない」は15.1%)。

調査は、「学校現場の実態」として、社会に発信するとともに、中教審への意見反映、文科省や教育委員会との交渉・協議に活用し、「実感できる働き方改革」につなげることが目的。対象は、全国の幼稚園、小中高校、特別支援学校、小中一貫校、義務教育学校、中等教育学校の教職員で、2018年以降、毎年実施している。今年は7~9月にweb上で行い、1万1,844人からの回答をまとめた。