未組織労働者の組織化を進め1万人組織の実現を/全国ユニオンの定期大会

2024年9月13日 調査部

「誰でも1人でも加入できる」個人加盟の地域ユニオンの全国組織である全国コミュニティ・ユニオン連合会(全国ユニオン、鈴木剛会長、約3,500人)は8月31日、都内で第23回定期大会を開き、新活動方針などを確認した。新方針は、1万人組織を目標に掲げ、① 日本全国を網羅する組織づくり、相談体制の構築 ② ギグワーカー等曖昧な雇用で働く労働者の組織化 ③ ディーセント・ワークの実現 ④ 次世代オルガナイザーの育成⑤医療分野を中心とする部会設置と産業政策確立――などを柱としている。オブザーバー加盟だった全国一般群馬地方労働組合、全国一般福岡地方労働組合が正式加盟するとともに、四国ユニオンが新規加盟し、14構成組織となった。

「争議に取り組むことを通じて社会変革に向けた運動を展開する」(鈴木会長)

鈴木会長はあいさつで、目指すべき労働運動の姿について、「社会的な労働運動が重要だ。目の前の仲間たちの争議に一つひとつ取り組んでいくとともに、その闘いを通じて、社会的テーマを掲げて、社会変革に向けた運動を展開する」と訴えた。

曖昧な雇用で働く労働者の組織化やディーセント・ワークの実現を

全国ユニオンでは、傘下の東京ユニオンを中心に、アマゾンやウーバーイーツの配達員など、個人事業主とされているものの、アプリケーションによって直接仕事の指示を受けている、いわゆる曖昧な雇用で働く労働者の組織化に取り組んでおり、多国籍企業のプラットフォーマーに対して、国際的連携を視野に入れた運動展開を探るとしている。

公正な働き方を求めるディーセント・ワークの実現については、無期雇用転換を忌避する雇い止めや、新型コロナ感染症の流行による休業で明らかになった、就業日を定めないフリーシフト制の休業補償問題などへの取り組みを掲げており、非正規を含む「あらゆる働き方の労働者に権利を」をスローガンとする運動展開を強化するとしている。

政府で検討が始まった労働基準法の改正論議については、「『労働者代表制度』導入が取り沙汰されている。少数派労組の意見が尊重されなくなるような、安易な『労働組合もどき』の創設には反対」だと強調している。

労働者協同組合による仕事起こしや部会設立による産業別機能の確立も

また新運動方針は、労働者協同組合による、各ユニオンの仕事起こし運動を構想し、地域のコミュニティ再生や生活困窮者の自立支援を目指すとしている。長年、地域で労働者協同組合として活動してきた、傘下のいたみワーカーズコープの蓄積を、組織全体の運動に広げていく考えだ。

そのほか方針は、医療分野などのエッセンシャルワーカーを中心に、点から面の組織化を進め、産業政策が提起できる部会設立を探るとしている。争議解決型中心の運動から、産業別機能を確立して運動を進化させ、「複合産別(ゼネラルユニオン)としての全国ユニオン」を目指す。

均等待遇・格差是正・反貧困運動の進化を新たな運動の契機に

大会では、群馬一般、全国一般福岡、四国ユニオンが新たに加盟したことで、「これまで取り組んできた均等待遇・格差是正・反貧困などの運動をさらに進化させ、新たな運動へと発展させていく契機にしていかなければならない」としたうえで、「引き続き、非正規、フリーランス、中小企業を始めとした未組織労働者の組織化を進め、1万人の全国ユニオンを目指していく」などとする声明を確認した。