賃上げは定昇分込みの加重平均で1万5,878円、5.23%に/フード連合大会
2024年9月11日 調査部
食品関連産業で働く労働者を組織するフード連合(伊藤敏行会長、11万4,000人)は9月2日、都内で第23回定期大会を開き、今春の賃上げ交渉のまとめを確認した。賃上げ結果は、総額(加重平均)で1万5,878円、5.23%と、フード連合結成(2002年)以来、最も高い水準。まとめは、「高い賃上げの流れを多くの組合に広げることができた」などと評価する一方で、「食品関連産業で働く労働者の相対的地位の向上」に引き続き取り組む姿勢を示している。
ベースアップ分は全体で1万869円、3.57%に
今春の具体的な要求水準は、定期昇給相当分を「5,000円」としたうえで、ベースアップ分を「1万円以上」に設定。定昇額が5,000円に満たない場合は定昇相当分・ベア分の総額で「1万5,000円以上」とした。中小組合の賃上げ要求についても、定期昇給制度を確立していない組合は、定期昇給制度の確立に取り組むとともに、総額要求基準として「1万5,000円以上」を求めた。
6月30日までの賃上げ集計によれば、賃上げ結果(総額)は加重平均で1万5,878円・5.23%となり、昨年実績を額で4,679円、率で1.49ポイント上回った。規模別に見ると、300人以上規模では1万6,446円・5.29%、300人未満規模は1万2,487円・4.86%で、それぞれ額で4,856円、3,633円・率で1.52ポイント、1.36ポイント増。各区分で過去最高水準だった昨年実績を上回った格好だ。
さらに、ベースアップ分の結果をみても、全体では1万869円・3.57%(昨年同時期比4.762円・1.54ポイント増)、300人以上は1万1,223円・3.61%(同4.914円・1.56ポイント増)、300人未満は8,486円・3.29%(同3,811円・1.45ポイント増)となり、こちらも前年実績を大きく上回る結果となっている。
引き続き「食品関連産業で働く労働者の相対的地位の向上」に取り組む
こうした結果について「まとめ」は、「集計の全体(加重平均)では、額・率ともに連合集計の1万5,281円・5.10%を上回り、産業間の格差是正が進んだ。特に300人未満規模の同集計は連合集計(1万1,358円・4.45%)を大きく上回っており、産業間の格差是正に寄与するとともに、大手組合・中小組合を問わず、高い賃上げの流れを多くの組合に広げることができた」などと評価している。
その一方で、連合構成組織のなかには、フード連合を大きく上回る賃上げ実績をあげている産別があることも指摘して、「『食品関連産業で働く労働者の相対的地位の向上』は、引き続き取り組むべき課題」だと強調している。
「『賃金』も『物価』も安定的に上昇する経済のステージ転換を本格的なものに」(伊藤会長)
伊藤会長はあいさつで、今春の賃上げ結果が総額で額・率ともに連合を上回り、結成以来、最高の水準となったことに触れたうえで、「30数年ぶりの高い水準の賃上げが実現したが、フード連合の目標である『経済の自律的成長』と『食品関連産業で働く労働者の相対的地位の向上』のためには、『賃金』も『物価』も安定的に上昇する、経済のステージ転換を本格的なものにしなければならない」と指摘。さらに、産業間・企業規模間・雇用形態間などの格差の是正に向けて、さらなる取り組みの必要性を強調した。
月給制契約等労働者の賃上げは加重平均で8,883円(30組合)
そのほか、月給制有期・短時間・契約等労働者については、昨年同時期より22組合多い53組合が賃上げを要求し、36組合(同16組合増)が何らかの月例賃金の改善を獲得している。賃上げ結果は、30組合で8,883円(加重平均・昨年同時期比4,175円増)。
時給制有期・短時間・契約等労働者も昨年同時期比17組合増の35組合が賃上げを要求したが、改善組合数は前年同時期より2組合少ない13組合にとどまった。賃上げ結果は、6組合の平均で43円(加重平均・同14円増)、平均時給は1,177円(同20円増)となっている。