「2025年20万労連」の必達に強く拘る仲間づくりを/情報労連定期大会
2024年7月24日 調査部
NTTやKDDIなどの労働組合でつくる情報労連(安藤京一委員長、19万4,000人)は7月12日、都内で定期大会を開き、昨年の大会で確認した中期運動方針を補強する2024年度の運動方針を決めた。方針は、残りあと1年に迫った「2025年20万労連」の組織拡大目標の達成を目指して、「結果を出すことに強く拘る仲間づくりに取り組む」ことを提示。労働政策では、労働時間の適正化に向けて、時間外労働の縮減や有給休暇の取得促進に加え、勤務間インターバル制度の導入や、「つながらない権利(勤務時間外の連絡ルール)」の確立等、各組織の実態を踏まえた取り組みを進めることも掲げている。
2024年度の運動方針は、①「勤労者・生活者・納税者の立場にたった政策の実現」に向けた政治決戦の取り組み強化 ② 25万労連の実現に向けた取り組みの追求 ③ 加盟組合活動の充実に向けた取り組みの強化 ④ 産別政策の深化と実現に向けた取り組みの強化 ⑤ 社会的価値ある産別運動の展開――を運動の重点に据えている。
組織化は集団的労使関係のすそ野を広げる最も重要な取り組み
重点課題の一つである「25万労連の追求」について、方針は「組織力・運動力を継承・発展させていくために欠かすことのできない『組織の生命線』のみならず、集団的労使関係のすそ野を広げる最も重要な取り組み」だと強調。そのうえで、残りあと1年に迫った「2025年20万労連」の必達に向けて、「危機感と覚悟と決意をもって、結果を出すことに強く拘る仲間づくりに取り組む」ことを明記した。具体的には、「すべての加盟組合において組織拡大推進体制の強化を行うとともに、新入社員・中途採用者、60歳超再雇用者、有期契約等労働者を含めた「未組織労働者」の組織化への取り組みをこれまで以上に徹底する」などとしている。
「多くのIT労働者の働く環境の改善が情報産業で働く人全体の利益につながる」(安藤委員長)
安藤委員長はあいさつで組織拡大の必要性について、① 働く人・組合員の雇用を守り、労働条件を維持・向上させるために、集団的労使関係を確立し強化していく ② 組合のない社会では、不安定な状態におかれ、不満があっても声を上げることも憚られてしまい、不条理な働き方に従うしかない労働者が今もなお多くいる ③ とりわけ、多くのIT労働者の働く環境等を改善していくことが、情報産業で働く労働者全体の利益につながる――などと主張。「加速する情報技術の進展や激しい国際競争の変化のなか、先の見通しがつきづらい時代だからこそ、産別組合や連合のスケールメリットを活かした役割が重要になる」との認識を示したうえで、「組合員とその家族を守っていくためには、情報労連の仲間を増やすことは最重要課題。強い信念を持って『2025年20万労連』を何としても達成しよう」などと呼びかけた。
「ビジネスと人権」などの大きな潮流に産別労組として意識する必要がある
一方、産業政策の取り組みについては、「基本スタンス」および「地域ICTS政策」の浸透・実現に向けて、① 連合や他産別組織等との政策交流 ② 組織内議員を通じた政党や関係省庁への対応 ③ ブロック支部との連携による「情報労連・NTT労組自治体議員団」への対応――を強化する方向性を打ち出した。
2年おきに策定している「基本スタンス」については、「情報労連政策提言集(仮称)」として、次期定期全国大会で確認・決定すべく検討・論議を進める。「地域ICTS政策」についても、政策動向や現状を踏まえつつ見直しを図るとともに、「ビジネスと人権」やAIに関する政策立案を行うなどのブラッシュアップを検討していく。
方針提案した水野和人書記長は、「産業政策の検討にあたっては、急速な技術革新に伴う課題や影響をはじめ、事業活動に欠かせない視点となっている『ビジネスと人権』への対応などの大きな潮流に対し、労働組合としてどう対峙するのか、産別労組として強く意識する必要がある。また、生成AIは、イノベーションと効率化を促す一方、倫理的問題や人権への影響が懸念されている」などと説明。今後、こうした動向を注視した議論を進めていく考えを明らかにした。
勤務間インターバル制度の導入や「つながらない権利」の確立も進める
方針は総合労働政策の取り組みも提起。具体的には、多様な働き方や均衡均等待遇の実現をはじめとする法制度の改正等を踏まえた「加盟組合の実態や課題を把握し、職場における環境整備や改善に向けた取り組みを推進」する。さらに、労働時間の適正化に向け、「引き続き、時間外労働の縮減や有給休暇の取得促進、勤務間インターバル制度の導入、『つながらない権利』の確立等、各組織の実態を踏まえた取り組み」を進めることも明記している。