定昇相当分込み賃上げ率が5.28%で、33年ぶりに5%を超える/連合のヤマ場を終えての回答状況
2024年3月22日 調査部
連合(芳野友子会長)が15日に発表した同日午前10時時点での2024春季生活闘争第1回回答集計によると、平均賃金方式で回答を引き出した771組合(144万2,371人)の定昇相当分込み賃上げ額の加重平均は1万6,469円で、率では5.28%となった。賃上げ率が5%を超えたのは、5.66%を記録した1991年以来、33年ぶりのこと。芳野会長は「ステージ転換にふさわしいスタートが切れた」と評価した。
額では昨年同時期に比べ4,625円増加
連合は3月12日~14日を先行組合の回答引き出しのヤマ場に設定していた。定昇相当分込み賃上げ額・率を昨年同時期と比べると、額では4,625円増加、率では1.48ポイント増加した。なお、昨年同時期の集計組合数は805組合で、今年の集計組合数はそれより34組合少ないが、連合では「中小組合が特に減っており、全体の賃上げ回答が高水準となるなかで、交渉を継続している中小組合が多いからではないか」(仁平章総合局長)としている。
定昇相当分込み賃上げ額・率を組合規模別にみると、「99人以下」が昨年同期比3,042円増(0.98ポイント増)の1万272円(4.05%)、「100~299人」が同2,827円増(0.96ポイント増)の1万2,482円(4.53%)、「300~999人」が同4,277円増(1.33ポイント増)の1万5,393円(5.29%)、「1,000人以上」が同4,730円増(1.50ポイント増)の1万6,721円(5.30%)で、「1,000人以上」が額・率ともに最も高くなっている。
「300人未満」「300人以上」の2区分でみると、「300人未満」は同2,886円増(0.97ポイント増)の1万1,912円(4.42%)で、「300人以上」が同4,681円増(1.49ポイント増)の1万6,609円(5.30%)となっており、「300人未満」でも1万円を超える賃上げ額となった。
ベアや賃金改善などの「賃上げ分」は3.70%
ベアや賃金改善などの「賃上げ分」がわかる654組合(128万1,936人)で、「賃上げ分」の加重平均をみると、昨年同期を4,600円(1.37ポイント)上回る1万1,507円(3.70%)となり、「賃上げ分」が明確にわかる組合の集計を開始した2015年闘争以降で最も高くなった。
「300人未満」「300人以上」の2区分でみると、「300人未満」は同2,664円増(0.86ポイント増)の8,388円(2.98%)、「300人以上」が同4,649円増(1.38ポイント増)の1万1,586円(3.72%)となり、「300人以上」では1万円を超える水準となっている。
時給、月給ともに一般組合員の賃上げ率を上回る
有期・短時間・契約等労働者の賃上げの回答状況をみると、時給では、106組合(53万4,452人)の集計で、賃上げ額(加重平均)が、昨年同期を9.37円上回る71.10円(6.47%)。月給では、22組合(1万392人)の集計で、賃上げ額(同)が、昨年同期を4,824円上回る1万5,422円(6.75%)となり、時給も月給も一般組合員の賃上げ率を上回った。
15日の記者会見で芳野会長は、第1回回答集計結果について「日本のステージ転換にふさわしいスタートが切れた」とし、「各加盟組合の交渉において、労使双方が企業の持続的成長、さらには日本全体の生産性向上には人への投資の拡充が不可欠との認識を深め、真摯かつ有意義な交渉が行われたことは、来年以降の持続的な賃上げにつながる重要な意味がある」と評価した。