5%の月例賃金改善を要求/NTT労組の春闘方針
2024年2月21日 調査部
NTT東西やドコモ、データなど、NTTグループ企業の労働組合でつくるNTT労働組合(鈴木克彦委員長、約14万2,000人)は2月14日にWEB方式を併用して都内で中央委員会を開き、賃金改善5%の引き上げを求める「2024春季生活闘争方針」を決めた。冒頭のあいさつで鈴木委員長は、「24春闘は、『経済も賃金も物価も安定的に上昇する経済社会へのステージ転換』を図る極めて重要な局面だ」などと述べ、賃金改善の流れを継続させる姿勢を強調した。
すべての働く仲間の『底上げ』『底支え』に向けた労働条件トータルの改善を
方針は、基本的考え方として「NTT労組に結集するすべての働く仲間の『底上げ』『底支え』に向け、月例賃金をはじめとする労働条件トータルの改善に取り組む」ことを主張。そのうえで、要求の確立にあたっては、① 分配と成長の好循環につながる持続的な賃上げ ② 「中期経営戦略」に基づくNTTグループ事業の持続的な成長・発展 ③ 組合員の生活向上につながる賃上げ――等を総合的に勘案し、月例賃金・特別手当等の改善による年間収入の引き上げに取り組むとした。
具体的には、NTT労組中央本部は、主要会社に対して「基準内賃金および成果手当の5%改善」を要求。それを受けて、各企業労組本部は「対置するグループ会社等に対し、すべての雇用形態に具体的要求を確立する」こととした。
要求方針について十川雅之事務局長は、「分配と成長の好循環を実現するための『持続的な賃上げ』が必要不可欠であることから、月例賃金改善要求については『率』要求とした上で、昨年の要求水準である『2%改善および年間10万円』を上回る『賃上げ分として、5%』を要求する」と説明している。
なお、昨年は「月例賃金で2%の引き上げと、生活防衛への措置として年間10万円」の要求に対し、正社員の月例賃金を一人平均3,300円(資格賃金700円、成果手当2,600円)や60歳超の継続雇用の月給制社員2,250円相当の改善など、すべての雇用形態での賃金改善を引き出して決着する一方、生活防衛のための「年間10万円」の特別一時金はゼロ回答だった。
「『人への投資』を起点に経済の好循環を力強く回していくことをめざす」(鈴木委員長)
鈴木委員長はあいさつで、「24春闘は、『経済も賃金も物価も安定的に上昇する経済社会へのステージ転換』を図る極めて重要な局面であり、まさしく『正念場』の位置づけにある」ことを指摘。「経済成長や企業業績の後追いではなく、ステージを変え、産業・企業、経済・社会の活力の原動力となる『人への投資』を起点として、経済の好循環を力強く回していくことをめざさねばならない」と強調した。
一方、特別手当(一時金)は、昨年水準を基本に業績堅調な会社は上積みをめざす構え。そのほか、地域別法定最低賃金に上積額を加算した「情報労連最低賃金」の協定締結の維持・拡大に取り組むとともに、サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正配分に向けて、社会全体での公正な取引環境の実現に取り組む。