日産は総額で1万8,000円、本田は2万円/自動車大手労組が要求提出

2024年2月16日 調査部

自動車総連(金子晃浩会長、約79万9,000人)に加盟するメーカー部会の大手組合が14日、揃って「2024年総合生活改善の取り組み」に関する要求書を経営側に提出した。日産労組の平均賃金要求は、昨年要求を6,000円上回る総額1万8,000円で、本田技研労組と三菱自工労組は総額で2万円を掲げた。一時金要求も、トヨタ労組が7.6カ月を要求するなど高水準の要求月数が目立った。

スズキは前年を8,800円上回る2万1,000円

自動車総連が同日、メーカー部会に所属する12組合の要求内容を発表した。平均賃金での賃上げの要求内容をみていくと、日産労組は総額で「平均賃金改定原資1万8,000円」で、昨年要求より6,000円高い水準。なお、日産は賃金制度上、賃金カーブ維持分と賃金改善分を峻別できない。

本田技研労組は総額で、昨年要求を1,000円上回る2万円(賃金改善分だけでの額は公表していない)。マツダ労組は昨年要求を3,000円上回る1万6,000円(同)、三菱自工労組は昨年要求を7,000円上回る2万円(同)、スズキ労組は「賃金制度維持分+人への投資」の総額で「組合員一人平均2万1,000円」で、昨年要求を8,800円上回っている。SUBARU労組は昨年要求を8,100円上回る1万8,300円(同)となっている。

非公開のトヨタと改善分見送りのダイハツを除くメーカー部会の要求平均は5.51%

トヨタ労組の平均賃金での要求内容は、公式的には非公開。個別賃金での要求水準は、「若手技能職」が33万1,640円、「中堅技能職」が41万6,610円で、「技能職EX級 技能3等級」が44万3,740円となっている。

ダイハツ労組は賃金改善分の要求は見送った。

自動車総連によると、トヨタ労組とダイハツ労組を除くメーカー部会労組の要求額の平均は1万8,320円で、これは率にすると5.51%に相当するという(基礎額の平均は33万6,487円)。

トヨタ、本田の年間一時金は7カ月を超える要求に

一時金の要求額は、トヨタ労組が昨年要求を0.9カ月上回り、過去最高となる7.6カ月、日産労組が同0.3カ月上回る5.8カ月、本田技研労組が同0.7カ月上回る「5.0+2.1カ月」、マツダ労組が同0.3カ月上回る5.6カ月、三菱自工労組が同0.3カ月上回る6.3カ月、スズキ労組が同0.4カ月上回る6.2カ月、SUBARU労組が同0.4カ月上回る「5.0+1.0カ月」など。ダイハツ労組は5.0カ月を要求し、昨年要求から0.5カ月引き下げた。

金子会長は「しっかり地に足のついた徹底的な議論をして、要求の趣旨に沿った、また要求通りも含めた要求に見合うしっかりとした成果があげられることを期待したい」と述べるとともに、価格転嫁の取り組みについて、昨年11月に政府からも「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」が出されたことから、「この1カ月の交渉のなかでも当該労使のなかで確認をしながら、少しでも前に進めていき、OEMを頭にするサプライチェーン全体、特に3次、4次以降もしっかり行き届くよう、促していきたい」と話した。