「月額3万円以上、時給190円以上、10%以上」の引き上げを目指す/国民春闘共闘の春闘方針

2024年1月26日 調査部

全労連や中立労組などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:小畑雅子全労連議長)は19日、都内で第1回単産・地方代表者会議をオンラインとの併用で開き、2024年の国民春闘方針を確認した。賃上げ要求基準として、前年同様、「月額3万円以上、時給190円以上、10%以上」の引き上げを目指すほか、企業内最低賃金「時給1,500円以上、月22万5,000円以上」などを掲げている。ストライキを背景に交渉力を強める取り組みを全体に広げて、大幅賃上げ・底上げを実現したい考えだ。

非正規労働者などの賃上げ・底上げ、雇用を守るたたかいを方針の基調に

国民春闘共闘委員会は24春闘を、昨年の春闘で掲げた「たたかう労働組合のバージョンアップ」の第二幕と位置づけ、① ストライキなど高い交渉力でたたかえる組織になる ② 産別や地域の統一闘争への結集を強める ③ 要求の求心力で仲間を増やすことができる労働組合になる――ことをあげて「職場活動、職場闘争の強化」の必要性を強調した。

そのうえで、最低賃金全国一律制への法改正とジェンダー平等の視点から労働・税・社会保障制度の見直しを追求する2つのキャンペーンを展開。非正規労働者やフリーランス、ケア労働者などの「賃上げ・底上げ、雇用を守るたたかいの具現化をすすめる」考えを打ち出している。

あいさつした小畑代表幹事は、23春闘での賃上げについて「ストライキを構えた交渉力アップで、20数年ぶりに6,000円台を勝ち取ってきた」と述べる一方、「それでも物価高騰を上回れるまではいかず、20カ月連続で実質賃金は前年同月を下回っている」などと指摘。24春闘では「職場の働く仲間の切実な要求から出発した闘う労働組合のバージョンアップで、大幅賃上げ・底上げを勝ち取る春闘としていきたい」として、取り組みへの積極的な参加を呼びかけた。

賃金が下がり続ける国から引き上がる国への転換を図る

方針は、賃上げ要求について、「賃金が下がり続ける国から引き上がる国への転換」を図ることを目標に掲げたうえで、「生計費原則に基づく生活に必要な賃金の引き上げ」を追求することを明記。物価上昇が続くなか、生活改善が実感できる賃金の大幅引き上げ・底上げを求める姿勢を鮮明にしている。

最低賃金は今すぐ全国一律1,500円に

具体的な要求基準は、「月額3万円以上・時給190円以上、10%以上」を設定。企業内最低賃金は、「時給1,500円以上、月22万5,000円以上」を求める。また、法定最低賃金要求は「いますぐ全国一律1,500円、めざせ1,700円」とする。

さらに、労働時間・働き方について、「人間らしい生活時間の確保に向けた労働時間短縮」を図るため、① 所定労働時間を1日7時間、週35時間をめざす ② 時間外労働の上限は、週15時間、月45時間、年360時間までとするために、36協定の特別条項を廃止する ③ 勤務時間インターバルを24時間について連続する11時間以上とする ④深夜勤務や変則勤務、対人勤務の場合は、労働時間を短縮する――といった要求基準を列記している。

すべての職場でスト権確立の議論を

方針は、ストライキを背景に賃上げ交渉を行う重要性も指摘。23春闘で57.2%だったスト権の確立を「すべての組織でめざす」議論を呼びかけた。そのうえで、「ストライキなど高い交渉力をもって、対等な労使関係を築き、賃上げを迫ることが必要だ」と主張。「納得できない回答に対しては、ストライキを決行して要求の実現を迫る準備を行うと同時に、要求実現まで繰り返しのスト戦術と団体交渉を重ねたたたかいを展開する」などとしている。

集中回答日は3月13日

方針は、集中回答日を3月13日に設定。同日夜は、YouTube Liveなどで賃上げ回答速報の番組を放送する。そして、翌14日にはストライキをはじめとする全国統一行動を行う。集中回答日については、この間、連合のヤマ場より1週間早く設定してきたが、今回は「カレンダー上の並びから3月6日ではあまりに早いことから、できるだけ多くの産別組織の結集を図ることを優先した」という。