2交替制夜勤職場が48.4%で過去最高に/日本医労連調査
2023年12月22日 調査部
8時間以上の長時間勤務が前提となる「2交替制夜勤」を行う病棟(2交替病棟)が48.4%で過去最高に――。日本医労連(佐々木悦子委員長、約14万4,000人)が13日に公表した「2023年度夜勤実態調査」で、夜勤に従事する看護職員・看護要員の過酷な労働実態が明らかになった。集計データからは、長時間夜勤や短い勤務間隔での労働が行われ、月の夜勤回数も依然として深刻な状況であることがうかがえた。医労連は、改善に向けて看護師の増員や夜勤の改善を求めている。
2交替病棟の半数で16時間以上の長時間夜勤が
調査は毎年実施され、今年度は335施設2,600職場(入院部門は335施設2,428病棟・看護職員6万9,174人、看護要員7万9,459人)の回答を集約した。勤務状況については2023年6月の実績を対象としている。
それによると、2交替制を採用している病棟の割合は、本調査開始当初の1999年(6.5%)から年々増加。今回は48.4%と、昨年(44.9%)より3.5ポイント増加し、過去最高を更新した。一方、3交替制の病棟の割合は1999年の93.5%から、今回は51.6%まで減少している。
また、2交替病棟での「16時間以上」の長時間夜勤は、病棟の50.0%、看護職員の48.1%となり、昨年(病棟の44.5%、看護職員の43.0%)よりそれぞれ5ポイント以上増加した。
3交替職場の夜勤日数「月9日以上」は2割超で高止まり
夜勤日数をみると、3交替職場の月あたりの平均夜勤日数は7.75日で、昨年(7.80日)より微減した。この数字は、1993年まで8日台で推移していたが、翌1994年に7.99日となり、以降7日台が続いている。
また、夜勤回数について、1992年に制定され、今年30年振りに改定された看護人材確保法の基本指針(看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針)では、離職防止対策として夜勤負担の軽減をあげ、3交替制の場合、「複数を主として月8回以内の夜勤体制の構築」を掲げている。しかし今回の調査では、その水準に収まる「月8日以内」が72.5%だったのに対し、水準を上回る「月9日以上」は27.5%と、昨年(28.4%)よりわずかに減少したものの、依然として2割を超える結果となった。なかでも、重篤・重症の急性期患者を看るICU(集中治療室)・CCU(冠疾患集中治療室)等では、「月9日以上」の夜勤が44.2%と、昨年(45.7%)に引き続き4割を超える状況となっている。
2交替職場の平均夜勤回数は過去最高の4.28回に
一方、2交替職場の平均夜勤回数は4.28回と、昨年(4.14回)より増加。この数字は2010年以降4回台が続いているが、今回調査で過去最高にのぼった。
夜勤回数別の割合は、「月4回以内」が60.6%、「月4.5回以上」は39.4%だった。「月4.5回以上」の割合は昨年(38.2%)より1.2ポイント増加し、4割に近づいている。ICU・CCU等でも、「月4.5回以上」の夜勤が56.2%に及んだ。
勤務間の休息は「12時間未満」が5割超
勤務間隔については、「8時間未満」の割合が40.6%と、昨年(40.6%)から横ばいで4割台にのぼり、「12時間未満」も57.8%と昨年(56.8%)より増加した。
また、「働き方改革関連法」に基づき2019年に改正された「労働時間等設定改善法」では、勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務として規定されているが、インターバル協定の有無についてみると、「有」は16.6%にとどまっている。
さらに、労使間でひと月単位を基準に夜勤に関する制限を定める「夜勤協定」も、「有」が66.6%、「無」が33.4%。協定のない割合は昨年(31.3%)より増加して、未だ3割以上の施設で夜勤に関するルールが定められていない。
人員増と働き方改善が離職防止や医療提供体制の充実につながる/佐々木委員長
調査結果をうけ、佐々木委員長は、「長時間夜勤、回数オーバーの夜勤は看護師の健康面にも悪影響を及ぼすため、少なくない看護師が疲れ果てて職場を去ってしまう」と、人員不足に拍車がかかっている状況を指摘。「看護師を増やして働き方を改善することが、看護師の離職防止や医療提供体制の充実につながる」として、大幅増員と夜勤改善の必要性を訴えている。