「2025年20万労連」と延長線上にある「25万労連」達成を/情報労連大会

2022年8月3日 調査部

NTTやKDDIなどの労働組合でつくる情報労連(安藤京一委員長、19万7,000人)は7月29日、都内でオンライン併用の定期大会を開き、昨年決定した「2021~2022年度中期運動方針」を補強する「2022年度運動方針」を確認した。組織拡大では、「2025年20万労連」と、その延長線上にある「25万労連」の達成に向けて、すべての組織が取り組みを強化する。安藤委員長は、「労働組合の組織力向上に組織人員増は必要不可欠。気概を持って、結果に拘り成果を出していく」と強調した。

2022年度の運動方針は、運動の重点として ①「25万労連の追求」に向けた着実な活動の展開 ② 加盟組合活動の充実に向けた取り組みの強化 ③ 産別政策の深化と実現に向けた取り組みの強化 ④ 政治啓発活動の積極的な推進 ⑤ 産別・情報労連としての社会的役割のさらなる発揮――を掲げている。

組織化を推進することで集団的労使関係の強化・確立を

「25万労連の追求」については、中期目標である「2025年20万労連」の達成と、その延長線上にある「25万労連」の達成に向けて、すべての組織が取り組みを強化する。具体的には、本部加盟組織は、「未組織グループ会社」の組織化の取り組みを強化し、当該企業グループにおける集団的労使関係の強化を図る。ブロック支部は加盟組合の「過半数確保」および「完全組織化」への取り組みを進めて集団的労使関係の確立につなげ、全国オルグはターゲット業種(情報通信業、情報サービス業、通信建設業)を基軸に新規結成・加盟に取り組む。

組織拡大は組織の『生命線』(安藤委員長)

冒頭、安藤委員長はあいさつで、「組織拡大は、組織の『生命線』であり、現状の組織人員が、このままのトレンドで減少していけば、組織運営はおろか、産別として立ち行かなくなる恐れがある」と危機感を露わにしたうえで、「産別・単組双方において、労働組合の組織力向上には、組織人員の増は必要不可欠。気概を持って、結果に拘り成果を出していきたい」と主張した。

さらに、加盟組織の全ベルコ労働組合が、中央労働委員会に不当労働行為救済申し立てを行い、今年3月末に和解が成立したベルコ事件についても触れ、「委託契約に名を借りて、不当解雇、不当労働行為がなされた。本件も和解が成立するまで7年という年月がかかったが、不当な会社側の姿勢に労働組合の団結がなければ成果をあげることができなかった」などと説明。「泣き寝入りしている労働者は、まだまだ数え切れないほど実在している。そうした人たちには労働組合が必要だ」と述べ、組織力強化と未組織労働者を守る観点から組織拡大に取り組む重要性を強調した。

産業政策の「基本スタンス」策定に取り組む

加盟組合活動の充実に向けては、「産別運動の基盤は、各加盟組合の組織力であり、その結集がスケールメリットを活かした産別運動の組織力・推進力になる」(北野眞一書記長)との認識から、中央本部はブロック支部と連携し、加盟組合への日常的な対応や教育活動に加え、組織運営や労使間の課題等、組織実態に応じたきめ細かな支援・指導を行い、当該組織の自立・自律化につなげる。

産業政策の取り組みについては、「存在感ある産別運動」の重要な基盤との認識のもと、202年度には、次期定期大会での確認に向けて「基本スタンス(2023~2024年度)」の策定に取り組む。政策委員会を中心に、「日本における社会・経済的な課題解決に向けたICT利活用の推進はもとより、デジタル社会における諸課題を踏まえたICTS政策をブラッシュアップする」(北野書記長)考えだ。

組織と組合員との距離感の広がり・一体感の低下を懸念

一方、政治活動では、先の第26回参議院議員選挙で、石橋みちひろ氏を組織内候補者として立憲民主党から擁立。11万1,703票を獲得し、三選を果たした。こうした結果について安藤委員長は、「組織の総力を結集した取り組みがなければ、成し遂げられなかった」と評価する一方で、「三選は、『地獄に仏』の心境だ。6年前より約6万票、3年前より約3万票減らした個人票の結果をみても、組織として重く受け止めなければならない」などと指摘。「組織と組合員との距離感の広がり・一体感の低下が進みつつあるのではないか」と強い懸念を示したうえで、「産別としての取り組みの検証とその結果に基づく対策を強化していきたい」などと訴えた。

方針は政治活動について、「情報労連がめざす『勤労者・生活者・納税者の視点に立った政策』の実現は、政治への関心・理解なくして果たし得ない」として、各組織での日常的な政治啓発活動の取り組み強化を促している。あわせて、来春の「第20回統一地方選挙」をはじめとする地方自治体選挙での「組織内・重点候補をはじめとする推薦候補者全員の勝利に向けて取り組みを強化する」としている。

このほか、社会的役割のさらなる発揮に向けて、平和・環境、社会貢献活動などについても、社会的価値のある運動を展開していく考えだ。