賃上げは単純平均で5,955円、2.11%に/国民春闘共闘の春闘中間総括

2022年6月29日 調査部

全労連などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:小畑雅子・全労連議長)は6月23日、都内でオンラインを併用して第2回単産・地方代表者会議を開き、2022年春闘の中間総括を確認した。5月26日時点の賃上げ集計では、回答引き出し組合の単純平均が5,955円、2.11%。中間総括は、「生活をまもるための要求、物価の高騰からすると大変不満」としながらも、「ここ20年で額・率ともに最高の引き上げとなる前進回答を引き出した」ことを評価。小畑代表幹事は、「大幅賃上げ・底上げの流れをつくるとりくみを、職場・地域から一層強めていくことが求められている」と訴えた。

ここ20年で最高の前進回答を引き出したことを評価

国民春闘共闘の第7回賃上げ集計によると、5月26日までに1,191組合が何らかの回答を引き出している。そのうち、金額もしくは率が明らかなになっている有額回答を得た組合は714組合(59.9%)で、「定昇確保」などの言葉による回答を得た組合が477組合(40.1%)となっている。

有額回答を引き出した組合の単純平均(一組合あたりの平均)は5,955円(2.11%)で、前年同期と比べ1,198円増(0.28ポイント増)となる。一方、組合員一人あたりの加重平均では5,429円(2.01%)となり、前年同期と比べ320円減(0.07ポイント増)となった。
さらに、前年実績との比較が可能な498組合の単純平均額をみると、金額では5,438円で前年を534円上回る。率で対比可能な280組合の賃上げ率も単純平均では2.13%となり、こちらも前年を0.21ポイント上回っている。なお、前年実績以上の回答を引き出した組合は、額で322組合、率では164組合となっている。

2022春闘で国民春闘共闘は、「月額2万5,000円以上、時間額150円以上」の賃上げ要求を掲げていた。これまでの集計結果について中間総括は、「私たちが求めた、生活をまもるための大幅な賃金引き上げ・底上げ要求、さらに物価の高騰からすると、大変不満な回答状況だ」としながらも、ケア労働者の賃上げや最低生計費試算調査結果などを背景に、「単純平均ではここ20年で額・率ともに最高の引き上げとなる前進回答を引き出した」と評価している。

非正規労働者の時間額の引き上げは22.9円

非正規労働者の賃上げ状況については、10単産191組合から298件の実績が報告された。
時給制では225件の報告があり、そのうち引き上げ額がわかっている143件の単純平均は22.9円、率では2.75%。月給制では65件の報告が寄せられ、引き上げ額は4,326円、率では1.93%となっている。

また、企業内最賃協定の改定状況では、全農協労連、建交労、JMITU、化学一般、生協労連、全印総連、民法労連、出版労連、日本医労連の73組合から157件の報告が寄せられている。 時間額(82件)では、新協定額の単純平均が1,045円、引き上げは29.7円となり、日額(14件)では新協定額7,960円、月額(25件)の新協定額は15万9,935円となっている。

初任給・募集給や格差是正、諸手当で大きく前進

一方、国民春闘共闘が6月22日に公表した第2回制度的諸要求獲得状況調査によると、正規労働者の制度的諸要求について、昨年の最終集計(356件)を上回る538件の実績が報告された。内訳は、労働時間の短縮関係51件、所得関係55件、両立支援・母性保護23件、労働安全衛生・労災対策18件、新型コロナ対策54件、雇用保障35件、ハラスメント防止10件、諸手当241件など。国民春闘共闘によると、「昨年最終と比べて初任給・募集給や格差の是正など所得関係と、諸手当で大きな前進をしていることが特徴」だという。

なお、非正規労働者に関しては、183件(昨年最終382件)の獲得報告があった。内訳は、休日休暇関係18件、所得関係17件、両立支援・母性保護6件、労働安全衛生・労災対策4件、新型コロナ対策21件、雇用保障6件、諸手当107件などとなっている。

「大幅賃上げ・底上げの流れを職場・地域から一層強める」(小畑代表幹事)

こうした成果を踏まえて、小畑代表幹事は、「コロナ禍の春闘でこだわってきた、労働組合として大幅賃上げ・底上げの流れをつくるとりくみを、職場・地域から一層強めていくことが求められている」ことを強調。「私たちは、働く仲間に接近できているだろうか。要求を組みつくし、要求実現のための運動を組織してこられただろうか」と問い掛けたうえで、「その問題意識をもって、今まで労働組合が接近してこられなかった層も含めて、運動に組織していくために知恵と力を出し合っていこう」などと訴えた。