中小労組の賃金改善額が2,023円で過去最高に/JAMの3月末時点の賃上げ回答結果

2022年4月6日 調査部

金属、機械関連の中小労組が多く加盟するJAM(安河内賢弘会長)がまとめた3月末時点での賃上げ回答集計結果によると、妥結した組合の平均の賃金改善額、平均賃上げでの賃金構造維持分込みの賃上げ妥結額ともに、1999年の結成後、集計を取り始めた2001年以降で過去最高となった。賃金改善額では300人未満の中小で2,023円と、2,000円を超える水準を維持しており、こちらも過去最高の額となっている。

交渉の進捗はほぼ昨年並み

JAMが1日にまとめた3月末時点での春季生活闘争状況報告によると、1,500ある交渉単位組合のうち、1,487組合が交渉単組となっており、そのうち1,119単組が要求を提出。賃金について要求を提出した単組は、そのうちの1,041組合となっている。

交渉単位組合に占める要求提出単組の割合は74.6%で、昨年同時期(76.3%)とほぼ同水準。賃金についてすでに要求を行った1,041組合のうち、回答を得ているのは651組合で、うち475組合がすでに妥結に至った。交渉単位組合に占める、回答を得た組合の割合は43.4%で、こちらも昨年同時期(45.0%)とほぼ同じ割合となっている。

7年連続で中小の改善額が大手を上回る

賃上げの状況をみると、平均賃上げでの妥結額の平均は6,070円(要求額平均は8,422円)で、この時期の回答集計では2001年以降で過去最高。同一単組で前年と比較すると1,066円上回った(要求額は812円増)。300人未満でみると、妥結額は5,822円(要求額平均は8,266円)でこちらも過去最高。同一単組で前年と比べると1,029円上回った。

賃金構造維持分を明示して要求している単組は764組合で、そのうち賃金改善分を要求している単組は691組合。そのうち賃金改善分を獲得したのは372組合で、賃金改善分の平均は過去最高の1,974円となった。

改善分の平均額を組合規模別にみると、「99人以下」が2,023円、「100~299人」が2,022円、「300~499人」が1,935円、「500~999人」が1,687円、「1,000~2,999人」が1,860円、「3,000人」が2,286円で、「3,000人」を除けば「99人以下」が最も高くなっている。300人未満でみると2,023円で、過去最高の水準を記録するとともに、7年連続で300人以上の妥結額(1,870円)を上回った。

1万円を超える賃金改善を獲得した単組も

4日、都内の本部で会見した安河内会長は、こうした回答状況について「中小のものづくり産業でも、力強く賃上げの流れが続いている」と述べるとともに、「先行する大手が築いた強固な賃上げの地盤をベースに、中小がそれを大きく超えるという流れが出ている」と評価。背景として、原材料費や燃料費の高騰など中小にとって厳しい状況がある一方、「足元の人手不足の高まりと人材流出が止まらない状況」があると説明した。ある格差是正を強く意識した中小企業では、組合側が1万円以上の賃金改善を獲得したところもあったという。