先行大手組合のすべてが賃金改善分を獲得/JAM加盟単組のヤマ場回答

2022年3月23日 調査部

主に金属・機械関連の労組を傘下におくJAM(安河内賢弘会長)では、賃金改善分を要求した先行大手のすべての組合が、金属労協の集中回答日である16日までに有額回答を引き出した。オークマは平均方式で1,892円の賃金改善、島津はベア2,000円と若手層是正分、クボタユニオンは4,107円の賃金改善を獲得した。

アズビル、横河は要求どおりの回答

今年は、JAMではオークマ、島津、アズビル、横河電機、シチズン、ジーエス・ユアサ、NTN、日本精工、クボタユニオン、コマツ、ヤンマー、井関農機の各大手労組が、金属労協の集中回答日までに回答を引き出し、相場形成役となる先行グループを形成した。賃金改善分の要求を見送ったシチズンを除くすべての組合が、有額回答を得た。

平均方式で各労組の賃金改善額をみると、オークマが1,892円(要求は6,000円)、島津が「ベア2,000円(職責に応じて配分)+賃金制度改善1,000円(若手層是正)+一時金加算」(同6,930円)、アズビルが要求どおりの2,913円(同2,913円)、横河電機が要求どおりの「賃金改善分(2,000円相当)+各等級の基本給上限・下限改定(2,000円)」、ジーエス・ユアサが1,000円(同3,000円)、NTNが760円(非正規社員の是正含む)(同6,000円(同))、クボタユニオンが4,107円(同4,000円)、コマツが3,400円(うち400円は再雇用者・非正規改善分)(同4,500円)、ヤンマーが1,000円(家族手当400円含む)(同6,000円)。日本精工は35歳銘柄で「1,000円+住宅手当」(同3,000円+住宅手当)、井関農機が30歳銘柄で2,000円(同7,130円)となっている。

「粘り強い交渉の結果」(安河内会長)

金属労協および連合・金属共闘連絡会議による16日のオンライン会見で安河内会長は、必ずしもコロナ後の業績が回復しているという訳ではなく、また、資源高やエネルギー価格の高騰など先行き不安があるなか、「それぞれの単組が粘り強く、交渉を積み上げた結果だ」と評価した。

JAM全体での回答状況をみると(18日時点)、要求進捗率は64.9%(974組合)で、妥結進捗率は14.0%(210組合)となっている。JAMは中小労組を多く抱えるため、加盟単組の交渉が本格化するのはこれからとなる。

賃金構造維持分を明示している単組で、賃金改善分を要求してすでに回答をうけた236組合の改善分の平均をみると1,988円。また、平均賃上げでの妥結額(賃金構造維持分含む)を同一単組で前年と比較すると、プラス1,009円となっており、かつ、組合規模別にみると、100人未満を除くすべての規模で1,000円を超える増加幅となっている。

安河内会長は中小労組の交渉に向け、「行き過ぎた円安、人手不足、人件費の上昇は中小にとってむしろ厳しい。今後、中小が大手を上回るような回答を得ていくためには、それらのコストの価格転嫁が欠かせず、引き続き訴えていきたい」と話した。