昨年の引き上げ額を上回る回答が相次ぐ/金属労協の集中回答日

2022年3月23日 調査部

金属労協(JCM)が集中回答日に設定した16日までに、金属大手各社の賃上げ回答が一斉に労働組合側に示され、昨年の引き上げ額を上回る回答が相次いだ。金属労協主要組合の賃金改善分の平均獲得額は、17日時点で1,994円となっており、賃上げが復活した2014年以降の各最終獲得額と比べると、2015年に次いで高い額となった。JCMの金子晃浩議長は16日までの回答状況について、日に日に懸念材料が増すなかでも「JC共闘による相乗効果を発揮できた」などと評価した。

ヤマ場での獲得額としては2015年に次ぐ高い水準

JCMがまとめた17日午前10時30分現在の回答集計では、16日の集中回答日までに回答を引き出し、相場の牽引役となる「集計対象組合」54組合のうち、53組合が賃金改善分を要求。そのうち50組合が賃金改善分を獲得しており、獲得額の平均は1,994円となっている。

平均獲得額は、2014年以降では、8%への消費税引き上げ後の2015年の2,801円に次ぐ高い水準。昨年、一昨年と比べると、昨年より856円高く、一昨年より934円高い。

企業内最低賃金協定については、37組合が協定額の引き上げを要求し、27組合が引き上げを果たした。平均引き上げ額は2,194円で、2015年以来、7年ぶりに2,000円以上の引き上げとなった。

例年以上に「人への投資」の必要性に理解

同日に行われたJCMおよび連合・金属共闘連絡会議によるオンライン会見で金子JCM議長(自動車総連会長)は、今次交渉での経営側の姿勢について「例年以上に『人への投資』の必要性に理解を示した」としながら、コロナ禍であることや、半導体不足とサプライチェーンの混乱、資源や原材料費の高騰に加え、ロシアのウクライナ侵攻などもあり、「日に日に懸念材料が増した」ことで、賃上げの具体的な水準については「ギリギリまで慎重な態度を崩さなかった」と振り返った。

そうしたなか、出された回答について「JC共闘により相乗効果を発揮することができた。組合員の生活の安心・安定はもちろん、経済再生や配分構造是正の契機となり得るもので労使の社会的役割を果たした」と評価したうえで、「先行組合の結果の良い流れをもって、すべての要求組合で賃金改善分を獲得し、底上げ・格差是正を進めたい」とコメントした。