構造維持分含む賃上げ要求は平均8,478円(2.97%)/連合の要求集計

2022年3月9日 調査部

連合(芳野友子会長)は3日、2022春季生活闘争の3月1日12時時点の要求集計結果を発表した。平均賃金方式での賃金構造維持分を含めた引き上げ要求額は8,478円で、引き上げ率は2.97%(加重平均)となっている。

賃上げ分が明確な組合の賃上げ要求額は平均3,837円

要求集計結果によると、集計の対象になっている7,061組合のうち、45.1%にあたる3,186組合が、3月1日までに要求を提出した。昨年同時期に比べ、集計対象組合数は85組合減ったが、要求提出組合数は27組合増えている。

平均賃金方式で、賃金構造維持分も含めた引き上げ額全体の算出が可能な2,522組合(集計組合員数224万7,955人)の引き上げ額は8,478円で、引き上げ率は2.97%(加重平均)。昨年同時期比では、額で632円、率で0.33ポイントのプラスになっている。

このうち、賃上げ分が明確な組合(1,895組合)の1人当たりの賃上げ要求額は、同535円増の3,837円、引き上げ率は同0.18ポイント増の1.31%となり、こちらも額・率ともに前年同期を上回った。

300人未満組合の平均賃上げ要求は7,718円

賃金構造維持分も含めた引き上げ額を規模別でみると、組合員数300人以上は901組合(集計組合員数206万7,009人)が要求を提出しており、引き上げ額は8,550円(2.97%)。組合員数300人未満では1,621組合(同18万946人)で、引き上げ額は7,718円(3.01%)となっている。昨年同時期との比較では、300人以上の組合は、要求提出が180組合増えて、額は647円(0.34ポイント)増。300人未満の組合は261組合増え、額は400円(0.21ポイント)増となっている。

また、有期・短時間・契約等労働者の賃上げ要求については、時給では集計172組合(集計組合員数63万202人)の引き上げ額の加重平均は前年同時期比4.13円増の40.93円。月給でも、集計88組合(集計組合員数5万5,337人)の引き上げ額の加重平均が同1,751円増の7,383円となっている。

年間一時金要求は前年同時期比0.17カ月増の5.05カ月

一方、一時金の平均要求月数(加重平均)では、年間要求(1,527組合、159万9,558人)は5.05カ月で、昨年同時期(4.88カ月)より0.17カ月上回った。夏季要求(1,357組合、111万347人)では2.61カ月となり、こちらも昨年同時期を0.15カ月上回っている。

なお、連合は今回、初めて有期・短時間・契約等労働者の一時金要求集計を行っている。それをみると、短時間労働者の一時金の平均要求月数は、年間要求(35組合、10万3,817人)で1.74カ月。契約社員の一時金の平均要求月数は、年間要求(31組合、6,558人)で3.14カ月となっている。

「格差や分配などの課題を再認識し、中期的視点で取り組む」(芳野会長)

3日の定例会見で芳野会長は、今春闘での要求・交渉状況について、「格差や分配など20年来の課題を再認識してコロナ後の世界、5年後、10年後の日本社会をどうつくっていくかという中期的視点を据えて取り組んでいくのが2022春季生活闘争の考え方だ」と指摘したうえで、「現在、加盟組合では交渉がスタートしている。頑張って要求貫徹に向けて取り組みを強化していきたい」などと述べた。

連合は3日に第4回中央闘争委員会を開催。これらの要求状況を踏まえたうえで、「すべての働く者の生活不安、将来不安の払拭に向けて、『人への投資』と月例賃金の改善にこだわった交渉を粘り強く進め、最大限の回答を引き出し、賃上げの社会的広がりを拡大していく」などとする確認事項をまとめている。