エッセンシャルワーカーの賃上げを全体の労働者に波及させる取り組みを/国民春闘共闘の春闘方針

2022年1月14日 調査部

[労使]

全労連や中立労組などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:小畑雅子全労連議長)は1月12日、都内で第1回単産・地方代表者会議をオンラインとの併用で開き、2022年国民春闘方針を確認した。賃上げの統一要求として、前年同様、月額2万5,000円以上、時間額150円以上の引き上げを掲げるほか、全国一律の最低賃金1,500円などをめざす。コロナ禍のなか、最前線で働くエッセンシャルワーカーの賃上げなどを実現させ、その流れを全体の労働者に波及させたい考えだ。

4つの要求の柱と4つのアプローチを方針の基調に

国民春闘共闘委員会は22春闘で、①格差を是正し、賃金の大幅引き上げ・底上げを②雇用をまもり、人間らしく働くルールの確立③医療・公衆衛生体制の拡充、公務・公共体制の拡充を④憲法が生かされる社会へ、参議院選挙で政治転換を――の4つの要求の柱と、それらに基づくすべての取り組みに4つのアプローチ(戦略)を位置付けて実現をめざすことを方針の基調に据えた。

大幅な賃上げ・底上げの要求実現を

そのうえで、方針は「すべての労働者の格差を是正し、賃金の大幅引き上げ・底上げ、最低賃金、均等待遇の抜本的な改善を求め賃金の大幅引き上げの流れをつくること」を最大のポイントだと指摘。とりわけ、「コロナ禍で脆弱性が明らかになったエッセンシャルワーカーの賃上げが急務だ」として、既に取り組みを始めている「ケア労働者の大幅賃上げアクション」の具体化と実現を訴え、「その流れを全体の労働者に波及させることをめざす」考えを示している。

あいさつした小畑代表幹事は、春闘の意義について「労働者の団結と労働組合の協同した力を一定の時期に集中することで、日本の労働運動の弱点である企業内中心の運動から労働者全体の運動につなげるたたかいだ」などと説明。「労働組合の社会的な影響力が強まらない限り、改善は図れない」として、春闘の取り組みへの参加を呼びかけた。

企業内最低賃金は時間額1,500円以上をめざす

ケア労働者の大幅賃上げアクションは、看護師や介護職員、保健師、保育士、学童保育職員などの全てのケア労働者に月4万円以上・時間給250円以上の賃上げを求める取り組み。12月1日には、厚生労働省にケア労働者の大幅賃上げや雇用配置基準の拡大、当事者の声を直接聞く場の設定などを求める要請書を提出した。

賃金要求の統一基準は、「月額2万5,000円以上、時間額150円以上」を設定。産業内・企業内最低賃金要求は、時間額1,500円以上をめざすこととし、具体的な水準は、時間額・日額・月額の各区分の設定も含めて各単産・単組で決定する。また、全国一律の最低賃金要求として1,500円を掲げる。

コロナ禍での雇用をまもる取り組みも強化

方針は、雇用をまもり、人間らしく働くルールを確立する取り組みも掲げている。

コロナ禍から雇用をまもる取り組みでは、「労働組合のある職場で解雇・雇止めを出させない取り組みを強化」する。感染拡大の可能性がある期間、雇用調整助成金の延長を政府に求めるとともに、休業手当の未払いも「すべての単組・支部で点検活動を強化する」構え。「非定型的シフト制労働契約」については、職場での悪用を止めることや、法的規制を求めていく。

均等待遇や労働時間規制の要求も

働くルールに関わる要求では、「性別、雇用、年齢、地域、企業規模などによって差別的な扱いがされる日本の賃金実態を改善し、均等待遇を求める」取り組みの強化や、非正規労働者への一時金の支給を求める「ボーナス差別やめろ!キャンペーン」の職場内外での取り組みを本格化させることなどを明記。労働時間規制についても重視し、① 法定労働時間を1日7時間、週35時間をめざす ② 時間外労働の上限は、週15時間、月45時間、年360時間までとする ③ 勤務時間インターバルは24時間について連続する11時間以上とする④深夜勤務や変則勤務、対人勤務の場合は、労働時間を短縮する--要求を掲げて取り組む。

方針は、集中回答日を21春闘に続き、連合のヤマ場(3月15~17日)より1週間早い3月9日に設定。翌日はストライキを含む全国一斉行動日とする。4月1~10日には、回答促進強化旬間を配置する。