2交替制夜勤職場が44.0%で過去最高に/日本医労連調査

2021年12月22日 調査部

[労使]

8時間以上の長時間勤務が前提となる「2交替制夜勤」を行う病棟(2交替病棟)が44.0%と過去最高に――日本医労連(佐々木悦子委員長、約14万9,000人)の「2021年度夜勤実態調査」では、夜勤に従事する看護職員・看護要員の過酷な労働実態が明らかになった。集計されたデータからは、人員不足のなか、長時間夜勤や短い勤務間隔での労働が行われ、夜勤協定や勤務間インターバル協定の導入にも課題が残る状況がうかがえる。日本医労連は健康かつ安全に働くことができるよう、看護職員の増員や、労働条件の改善を求めている。

人手不足が2交替制採用の一因に

調査は毎年実施され、今年度は357施設2,729職場(入院部門は356施設2,559病棟・看護職員7万2,484人、看護要員8万2,788人)の回答を集約。勤務状況については2021年6月の実績を対象としている。

2交替制を採用している病棟の割合は、本調査開始当初の1999年(6.5%)から年々増加。今回は44.0%と、昨年(42.7%)より1.3ポイント増加し、過去最高にのぼっている。一方で、3交替制の病棟の割合は1999年の93.5%から、今回は56.0%まで減少した。

この状況について、佐々木委員長は、「夜勤ができない看護師が増加していることなどもあり、人手が足らず、少ない人数でシフトを回すために2交替制を採用せざるを得ない施設がある」と、2交替制の増加の一因を説明する。

また、2交替病棟の「16時間以上」の長時間夜勤は、病棟数の52.7%、看護職員数の52.1%と、昨年(病棟数の52.5%、看護職員数の51.5%)よりわずかに増加し、変わらず半数を超える結果となった。

ICU・CCUでは約4割が月9日以上の夜勤に従事

夜勤日数をみると、3交替職場の月あたりの平均夜勤日数は7.62日で、昨年(7.53日)より微増した。この数字は、1998年以降おおむね7.6日台前後で推移している。

夜勤回数別の割合では、「月8日以内」が74.9%、「月9日以上」が25.1%となっている。1992年に制定された「看護師等の人材確保の促進に関する法律」(看護師確保法)の基本方針では、「月8日以内」の夜勤体制を水準としているが、今回の調査では、その水準を上回る「月9日以上」の割合が、昨年(24.8%)よりわずかに増加し、依然として2割を超える結果となった。なかでも、重篤・重症の急性期患者を看るICU(集中治療室)・CCU(冠疾患集中治療室)等では、「月9日以上」の夜勤が38.2%にのぼり、昨年(37.7%)より深刻な状況となっている。

2交替職場の平均夜勤回数は4.14回と、昨年(4.11回)より微増。この数字は2010年以降4回台で高止まりしている。また、夜勤回数別の割合では、「月4回以内」が59.9%、「月4.5回以上」は40.1%となっており、「月4.5回以上」の割合は昨年(35.6%)より4.5ポイント増加している。ICU・CCU等でも、「月4.5回以上」の夜勤が61.2%にのぼり、昨年(57.7%)より高くなっている。

看護職員は「正循環」勤務でより多く配置

3交替職場の看護職員数は50床あたり平均33.1人、看護要員数は38.2人となっており、いずれも昨年(看護職員数33.4人、看護要員数38.4人)とほぼ横ばいとなっている。

また、日本医労連では、3交替職場の夜勤シフト体制について、人間の生体リズムに反する夜勤による心身への負担を減らすため、前回の勤務開始後から24時間経過後に次の勤務が開始される「正循環」による勤務を求めている。今回の調査では、「3交替(正循環)」の看護職員数は50床あたり平均37.0人となる一方、「3交替(正循環以外)」は50床あたり平均29.7人となっており、「正循環」は「正循環以外」より50床あたりの看護職員数が7人多く配置されていることが明らかとなった。日本医労連は、看護職員がより健康に働き続けるために、正循環勤務を導入できるよう、看護職員の増員の必要性を強調している。

夜勤協定のない施設が3割超に

労使間でひと月単位を基準に夜勤に関する制限を定める「夜勤協定」の有無についてみると、「有」が65.7%、「無」が34.3%となった。協定のない割合は昨年(28.6%)より増加しており、3割以上の施設で夜勤に関するルールが定められていない。日本医労連は、「安全面と健康面に配慮した協定締結が急がれる」として、取り組みを強めていくことに言及した。

勤務間インターバル制度の導入は15%ほどにとどまる

勤務間隔の状況をみると、極端に短い「8時間未満」は41.7%となっており、昨年(41.5%)とほぼ横ばいで、4割超に及んでいる。国際労働機関(ILO)の「看護職員の雇用と労働および生活条件に関する勧告(第157号)」では、「勤務と勤務の間に少なくとも連続12時間以上の休息期間」を設けることを定めているが、今回の調査では、この水準を満たさない勤務間隔「12時間未満」も53.3%にのぼり、昨年(56.2%)より減少しているものの、変わらず5割を超えた。

また、「働き方改革関連法」に基づき2019年に改正された「労働時間等設定改善法」では、勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務として規定されているが、インターバル協定の有無についてみると、「有」は14.5%と未だ少ない状況となっている。

十分な人数で安全な看護の実現を

日本医労連では、夜勤改善と大幅増員が緊急の課題であるとの認識の元に、2021年6月に「めざすべき看護体制の提言」を発表。現在の看護職員数の約2倍に相当する全国300万人体制の実現を目指すことをかかげており、「今回のようなコロナウイルスなどの急な対応にも十分な人数で安全に看護ができる状況を実現する」ために、労働条件の改善および夜勤に従事できる看護師の増加に向けて、活動に取り組むとことを強調している。