LGBTQ+の組合員も安心して働くことのできる職場環境の整備を/自治労アンケート調査

2021年9月29日 調査部

[労使]

ジェンダーハラスメントやセクシュアル・ハラスメントを経験しているLGBTQ+(性的マイノリティ)の組合員は、非LGBTQ+の組合員に比べて2倍以上――。自治労(川本淳委員長、76万5,000人)がこのほどまとめた「働きやすさと職場の多様性に関するアンケート調査」ではこうした、職場におけるハラスメントやLGBTQ+に対する意識、実態が明らかになった。調査結果からはまた、LGBTQ+の組合員が各都道府県や職種、雇用形態に属すなど身近な存在として働いていることがうかがえることから、自治労は、安心して働くことのできる職場環境の整備などに取り組むとしている。

LGBTQ+の組合員は6.6%に

調査は2021年4月20日~6月20日にインターネットを経由して個人が特定できない形で実施。47都道府県本部と社保労連(自治労社会保険関係労働組合連合)を経由して組合員に協力を呼び掛け、1万9,029人(29.2%)から回答を得た。

回答者のセクシュアリティ分類をみると、LGBTに該当する人は3.1%(レズビアン0.8%、ゲイ1.1%、バイセクシュアル1.1%、トランスジェンダー0.1%)。性自認が男女の「どちらでもない」「決めたくない・決められない」などを含めたLGBTQ+に該当する割合は6.6%となっている。また、各都道府県、各自治体規模、各職種、各役職、各雇用形態すべてでLGBTQ+の職員が働いていることが確認された。単組・支部・分会の三役・執行委員、県本部役員などの組合役員については、LGBTQ+の33.5%が現在あるいは過去に組合役員を経験している。

LGBTQ+の組合員は約4割がジェンダーハラスメントを経験

過去5年間に仕事(飲み会などを含む)で経験したハラスメントについて、種類別の状況(複数回答)をみると、ジェンダーハラスメントでは、LGBTQ+の38.9%が経験しており、非LGBTQ+男性(18.4%)、非LGBTQ+女性(21.3%)の2倍以上にのぼっている。

内訳をみると、LGBTQ+では「結婚について必要以上に質問された」(18.2%)が最も高く、次いで「身体や容姿をばかにされた」(15.0%)、「男・女らしくないと言われた」(12.9%)などとなっている。非LGBTQ+男性では「身体や容姿をばかにされた」(10.2%)が突出して高く、非LGBTQ+女性では「男の子・女の子などと呼ばれた」(8.0%)が最も高いが、いずれの項目もLGBTQ+の回答割合は、非LGBTQ+男性、非LGBTQ+女性より高くなっている。

また、セクシュアル・ハラスメントは、LGBTQ+の21.1%が経験。非LGBTQ+男性(6.8%)の約3倍、非LGBTQ+女性(11.5%)の約2倍に及んでいる。内訳をみると、「性的なことについて言われた」(10.4%)、「意に反して身体に触られた」(9.8%)などと続いている。非LGBTQ+男性では「性的なことについて言われた」(3.7%)が最も高く、非LGBTQ+女性では「意に反して身体に触られた」(5.7%)が最も高いが、いずれの項目もLGBTQ+の回答割合は、非LGBTQ+男性、非LGBTQ+女性より高い。

SOGIハラスメントの経験割合はLGBTQ+の組合員で約8%に

全ての人に対する性的嗜好や性自認に関連して精神的・肉体的に嫌がらせを行うSOGIハラスメントの経験の有無をみると、LGBTQ+では7.9%となり、非LGBTQ+(0.8%)の約10倍に及んだ。

内訳をみると、LGBTQ+では「同性愛は自然に反する等と言われた」(3.4%)が最も高く、次いで「おかま・レズなどと言われた」(2.7%)、「自認の性と異なる性別で扱われた」(1.7%)などとなっている。一方、非LGBTQ+ではいずれの回答割合も1.0%に満たなかった。

8割超の組合員は同僚が同性愛者である場合に嫌悪感を持たず

職場の同僚が同性愛者だった場合の感想についてみると、<嫌ではない>(「嫌ではない」(64.3%)と「どちらかといえば嫌ではない」(21.5%)の合計)は85.9%。これを男女別でみると、女性(93.8%)の方が男性(79.5%)より高くなっている。

また、<嫌ではない>の割合を年齢別にみると、「24歳以下」(男性88.5%、女性97.3%)が最も高く、年齢が高い層ほど<嫌ではない>の割合は低い。最も低い「60歳以上」では、男性が70.1%、女性が81.5%となっている。

そのほか、現在の部署での性的マイノリティ当事者の住民や顧客への対応についてみると、「わからない」(62.1%)が6割以上にのぼる。一方「多くの人が対応できる」(18.0%)、「一部の人しか対応できない」(13.3%)はいずれも2割を下回っている。

自治体政策と職場環境の整備の前進を

今回の結果について、青木真理子・副委員長は、「性的マイノリティに関する課題は大変身近で、誰もが安心して働くことのできる職場環境の整備に向けて、早急に取り組まなければならないと感じた」と指摘。また、「職場のなかで仲間が苦しんでいる現実に目を向け、どう行動するかが問われている」として、LGBTQ+に関する自治体政策と、職場での働きやすさに向けた取り組みを前進させる必要性を訴えている。