2000年闘争以降で初めて中小の賃上げ率が全体での率を上回る/連合2021春季生活闘争の第3回回答集計

2021年4月9日 調査部

[労使]

連合(神津里季生会長)が6日に発表した今春闘の第3回回答集計によると、平均賃金方式での組合規模300人未満の定昇相当分込みの賃上げ率が1.84%となり、全体平均での賃上げ率(1.82%)を上回った。第3回集計の時点で、中小の賃上げ率が全体平均での率を上回るのは、規模別の結果が把握できるようになった2000年闘争以降で初めてのこと。

定昇相当分込みの賃上げ額は5,463円、賃上げ率は1.82%

第3回回答集計では、2日午後5時時点での結果をまとめた。集計によると、定昇相当分込みの賃上げ額(集計組合員数による加重平均)は5,463円で、賃上げ率(同)は1.82%。前年同期と比べると、額では298円低下し、率では0.12ポイントの低下となっている。集計組合数は今年が2,136組合で、前年が2,277組合。

これを規模別にみると、300人未満では賃上げ額が4,639円で、賃上げ率が1.84%。300人以上では賃上げ額が5,531円で、率が1.82%となっており、率では300人未満の方が高くなっている。

ベアや賃金改善などの「賃上げ分」が明確に分かる898組合での「賃上げ分」の平均額は1,675円(0.57%)で、前年同期の水準を285円上回った。これを規模別にみると、300人未満では1,297円(0.52%)、300人以上で1,709円(0.57%)。前年同期と比べると、300人未満は110円減(0.06ポイント減)となったが、300人以上は320円増(0.12ポイント増)となった。

時給賃上げ額は単純平均で20.11円、加重平均で22.52円

一方、有期・短時間・契約労働者の賃上げ回答の状況をみると、時給の賃上げ額は単純平均で20.11円(前年同期比9.51円減)、加重平均で22.52円(同6.35円減)となっている。月給の賃上げ額は、単純平均が4,408円(2.07%)、加重平均が4,492円(2.07%)で、月給についても前年同期を下回る水準となった。

連合会長は「悪しき常識をくつがえす動き」と評価

神津会長は同日に開かれた「2021春季生活闘争中小組合支援共闘集会」でのあいさつで、同結果について「コロナの収束が見通せないなかであるが、これまでのところ、各組合が懸命に交渉努力を行った結果として、2014年以来の賃上げの流れを断ち切ることなく、ここ数年にわたる分配構造の転換すなわち、中小の賃上げが大手を上回る、また、有期・短時間・契約労働者の時給アップ率が全体平均を上回る傾向を維持している。長年わが国に染みついてしまっていた悪しき常識をくつがえす動きであり、何年かたって『この動きはあのときに始まったのだ』という、そのくらい新しい歴史のうねりにしないといけない営みだ」と評価した。