賃上げ率の加重平均は1.81%/連合の第1回回答集計

2021年3月24日 調査部

[労使]

連合(神津里季生会長)は3月19日、2021年春季労使交渉の第1回回答集計結果を発表した。平均賃金方式でみた定期昇給相当分込みの賃上げ額の加重平均は5,563円(1.81%)で、昨年同時期を下回る水準。その一方で、賃上げ分が把握できる286組合の賃上げ分の加重平均額は、前年同時期比で262円高い1,685円となっている。

「300人未満」の賃上げ率が「300人以上」を上回る

連合の集計によると、賃上げを要求した2,770組合(204万5,250人)の賃上げ要求額は平均で7,988円(2.74%)。これに対し、19日午前10時時点での平均賃金方式での賃上げ回答の加重平均額(663組合、127万3,152人)は定昇相当分込みで5,563円となり、昨年同時期(2020年3月13日)の回答額を278円下回った。率にすると1.81%で、こちらも昨年同時期比で0.10ポイント下がっている。規模別では、300人未満は賃上げ額が4,797円で、率が1.84%。300人以上は額が5,587円で率が1.81%となり、昨年同様、300人未満の賃上げ率が300人以上を上回った。

賃上げ分がわかる組合の平均賃上げ額は1,685円に

賃上げ分が明確に分かる286組合(48万2,536人)の、ベアや賃金改善などの賃上げ分の加重平均額は1,685円(0.55%)となった。昨年同時期との比較では、額で262円、率で0.11ポイントのプラス。これを規模別にみると、300人未満は額が1,430円で率が0.51%、300人以上は額が1,693円で率が0.55%となっている。

一方、有期・短時間・契約等労働者の時給の賃上げ回答状況(56組合、32万8,516人)をみると、加重平均額は24.61円(平均時給1,046.23円)で、昨年同時期の回答額を5.88円下回った。月給の回答状況(13組合、6,970人)は、賃上げの加重平均額が4,976円で、こちらも昨年同時期より734円のマイナスになっている。

「賃上げの流れを断ち切らないことにこだわった交渉結果の集積」(神津会長)

こうした結果について、神津会長は「2014年以来の賃上げの流れを断ち切るようなことがあってはならず、昨年から強調している分配構造の転換の流れもよりしっかりしたものとしていかねばならない」と指摘したうえで、「全体平均の数字はコロナ禍の影響の下での経済実勢を少なからず反映した数字だが、賃上げの流れを断ち切らないことにこだわったうえでの交渉結果の集積だ」などと評価した。

なお、会見には、「金属」「化学・食品・製造等」「流通・サービス・金融」「インフラ・公益」「交通・運輸」の各共闘連絡会議の代表者も同席し、第1先行組合回答ゾーン(15~19日)でのそれぞれの先行組合の状況を紹介した。