トヨタ労組など一時金の要求月数は昨年より引き下げ/自動車メーカー労組の要求提出

2021年2月19日 調査部

[労使]

自動車総連傘下のトヨタ自動車労働組合など主要12組合は2月17日、賃金・一時金などに関する要求書を会社側に提出した。自動車総連によると、トヨタ労組は、中堅技能職の個別賃金水準で39万1,110円への到達を要求。一時金(年間月数)については昨年よりも0.5カ月分少ない6.0カ月を求めた。本田労組は中堅技能職で37万3,300円の達成を要求し、一時金では「5.0+0.3カ月」と昨年から0.7カ月分引き下げた。

日産労組は平均改定原資として7,000円を要求

自動車総連が公表した主要12組合の要求内容によると、個別賃金水準では、トヨタ労組は「若手技能職」(以下、若手と略)のポイントで31万6,020円、「中堅技能職」(以下、中堅と略)で39万1,110円、「技能職EX級 技能3等級」で42万610円への到達を要求した。日産労組は平均賃金改定原資7,000円を要求(昨年は同9,000円を要求)。個別賃金水準にすると、参考値だが若手で31万6,600円、中堅で35万100円になるという。

ホンダ労組は若手で30万350円、中堅で37万3,300円、マツダ労組は若手で25万6,600円、中堅で33万3,400円、三菱自工労組は若手で27万300円、中堅で32万4,600円への到達をそれぞれ求めた。

なお、自動車総連は昨年までは、各組合の平均賃上げ要求の内容についても合わせて公表してきたが、2019年から始めた「上げ幅ではなく、絶対水準を重視する」方針の「効果が見えてきた」(髙倉明会長)とともに、「賃金の絶対水準への到達をめざす共闘へのシフトをより鮮明にする」(金子晃浩事務局長)として、個別賃金水準の要求額だけを公表する形に切り替えた。中堅ポイントで個別賃金要求した単組数は、2018年の501から、2019年は656に増え、昨年はさらに676まで拡大した。

一時金では主要12労組すべてが昨年要求を下回る

一時金の要求内容(年間月数)をみると、トヨタは昨年要求比0.5カ月減の6.0カ月、日産は0.4カ月減の5.0カ月、本田は0.7カ月減の「5.0+0.3カ月」、マツダは「4.8カ月+6万円」(昨年要求は5.0カ月)、三菱自工は0.9カ月減の4.6カ月、スズキは0.5カ月減の5.3カ月となっている。その他の組合の要求月数はSUBARU「5.0+0.2カ月」、ダイハツ5.7カ月、いすゞ「5.0+0.4カ月」、日野5.0カ月、ヤマハ発動機5.5カ月、日本発条5.0カ月。12組合すべてで要求月数が昨年要求を下回っている。

非正規雇用で働く人に関する要求内容をみると、トヨタでは、「賃金引き上げ・人への投資として全組合員一人平均9,200円」という賃金に関する別途要求のなかに、非正規雇用者の賃上げ原資も含まれている。日産では、「シニアパートナー組合員」「パートナー組合員」の月給について「一人平均改定額1,000円」を求めた。本田では再雇用従業員の一時金について、現役組合員と同じ月数の5.3カ月を要求した。

働き方改善などについても労使で協議

自動車総連の今次交渉に向けての方針では、コロナ禍を契機とした働き方の変化を踏まえ、職場における働き方の改善や生産性向上などに資する労使協議や提言に取り組むとしている。日産、三菱自工、スズキなどでは総実労働時間の短縮について協議する。いすゞでは在宅勤務制度の拡充などを議論するとしている。

主要組合は今後、2月24日、3月3日、3月10日に統一して交渉する。主要組合の集中回答日は3月17日(水)に設定している。