ウィズコロナ・アフターコロナ社会を見据えた働き方改革の取り組みも/電機連合中央委員会

2021年2月3日 調査部

[労使]

電機連合(神保政史委員長、57万人)は1月28日、オンライン形式で中央委員会を開き、「開発・設計職基幹労働者」(30歳相当)の賃金水準について2,000円以上の改善を求める「2021年総合労働条件改善闘争方針」を決定した。産業別最低賃金については、現行の協定水準に対して2,000円の引き上げを求める。一方、今春闘では、ウィズコロナ・アフターコロナ社会を見据えた働き方改革についても議論する考えだ。

総じて減収減益傾向だが一定の利益を確保できる見込み

電機連合大手の賃上げ交渉では、大手メーカーで構成する中闘13組合(パナソニックグループ労連、日立グループ連合、東芝グループ連合、全富士通労連、三菱電機労連、NECグループ労連、シャープグループ労連、富士電機グループ連合、村田製作所労連、OKIグループ連合、安川グループユニオン、明電舎、パイオニア労連)が、スト権を確立したうえで、要求から妥結まで足並みを揃えて交渉に臨む産別統一闘争を展開。中闘組合が引き出した回答が、回答を引き出す他の加盟組合に波及していく構図となっている。

電機連合によると、非上場のパイオニアを除く中闘企業12社の2020年度通期業績見通しは、売上高が前年度実績比8.0%減、営業利益は24.2%減。こうした状況を「総じて減収減益傾向だが、一定の利益を確保できる見込み」としている。

コロナ禍でより一層顕在化した諸課題の解決に取り組む

こうした産業情勢を踏まえ、電機連合は2020年闘争の意義を「雇用の確保を図り、『生活不安、雇用不安、将来不安』の払拭、電機産業のさらなる成長に向けて継続した『人への投資』に取り組む」と位置付けた。そのうえで、「ウィズコロナ・アフターコロナ社会に適合した『誰もが活躍できる職場環境の実現』に向け、コロナ禍でより一層顕在化した諸課題の解決に取り組む」ことを明記。今次闘争の基本方針として、賃金水準改善の継続やワーク・ライフ・バランスの実現、人材育成や均等・均衡処遇、付加価値の適正循環などの8項目にわたる取り組みを推進するとしている。

「開発・設計職基幹労働者賃金」は2,000円以上を要求

具体的な要求内容をみると、賃金では、「開発・設計職基幹労働者賃金(基本賃金)」(30歳相当)の水準の引き上げと、産業別最低賃金(18歳見合い)の水準改善を、スト権を立てて産別統一闘争の対象とする「統一要求基準」に設定。「開発・設計職基幹労働者賃金」の引き上げについては、賃金体系維持を図ったうえで、水準改善額(引き上げ額)2,000円以上を掲げた。電機連合は過去5年、3,000円以上の水準改善を要求基準としてきたが、今回は中闘組合の企業業績や雇用・社会情勢なども総合的に勘案して水準の引き下げを決めたという。

各社の最低賃金協定額となる産業別最低賃金 については、現行の協定水準に対して2,000円の引き上げとなる16万6,000円への改善を求める。

高卒初任給は1,000円、大卒初任給は1,500円の引き上げを

スト権の対象項目とはしないものの統一決着を目指す「統一目標基準」では、「製品組立職基幹労働者賃金(基本賃金)」の水準改善額(引き上げ額)を、「『開発・設計職基幹労働者賃金』の水準改善額に見合った額」としたほか、年齢別最賃金、高卒初任給、大卒初任給、技能職群(35歳相当)ミニマム基準を掲げた。高卒初任給は、現行水準に対して1,000円引き上げる16万9,000円以上への改善を要求。大卒初任給については、1,500円の引き上げる21万7,000円以上を求める。

一時金についても、例年同様、統一要求基準に設定。平均で年間5カ月分を中心とし、産別ミニマム基準は年間4カ月分の確保を定めた。

緊急避難的に実施されたテレワークの課題も

一方、労働協約関連項目の取り組みでは、「ウィズコロナ・アフターコロナ社会における働き方改革の取り組み」も議論する考え。とりわけ、昨年の緊急事態宣言発出後に多くの企業で緊急避難的に実施されたテレワークについては、「労働時間対策指針」のなかに定めている「テレワークに対する電機連合の考え方」に基づき、目的や労働時間管理、情報セキュリティ、健康確保等の検討を行う。また、テレワークの実施が困難な職種や業務に従事する労働者に対しても、柔軟な働き方等の対応について労使協議等で確認する。

そのほか、コロナ禍における安全衛生やメンタルヘルス対策、高年齢者に配慮した職場環境整備などの取り組みも掲げている。