統一要求「月額2万5,000円以上、時間額150円以上」を設定/国民春闘共闘の春闘方針

2021年1月20日 調査部

[労使]

全労連や中立労組などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:小畑雅子全労連議長)は1月14日、都内で第1回単産・地方代表者会議をオンラインとの併用で開き、2021年国民春闘方針を確認した。賃上げの統一要求として、前年同様、月額2万5,000円以上、時間額150円以上の引き上げを掲げる。産業内・企業内最低賃金は、時間額1,500円以上を目指すこととし、具体的な水準は時間額・日額・月額の各区分の設定も含め、各産別・単組の決定に委ねる。

公正な社会へ「4つのつくる行動」と「3つのアプローチ」を提起

方針は、 ① 賃金の大幅な引き上げ・底上げで誰もが人間らしくくらせる生活 ② 安定雇用・労働時間の規制強化などで人間らしく働けるルール ③ いのちが守られる医療・社会保障と公共体制 ④ 新しい政治への転換で憲法がいかされる社会――の「4つのつくる行動」と、それらを実現させる「3つのアプローチ」を提起。公正な社会への転換に向けて、ジェンダーや非正規労働者などの当事者が声を上げる「格差の見える化」や、対話を重視した要求で組織拡大・強化を図る「労働組合の見える化」などに取り組むとしている。

大幅な賃上げ・底上げの要求実現を

大幅な賃上げ・底上げの要求実現について、方針は ① 労働組合が交渉力を強める ② 春闘共闘や産別による統一闘争に結集する ③ 社会的世論に訴え、政府や自治体による制度政策で対策を取らせる――ことが必要だと指摘。「いまこそ、生計費原則に基づく公正・公平な賃金が必要だ」として、「8時間働けば誰もが人間らしく暮らせる賃金を実現する」ことを求めていく姿勢を強調している。

賃金要求の統一基準には、「月額2万5,000円以上、時間額150円以上」を設定。産業内・企業内最低基準要求は、時間額1,500円以上を目指すこととし、具体的な水準は、時間額・日額・月額の各区分の設定も含めて各単産・単組で決定する。また、全国一律の最低賃金要求は1,500円を掲げる。

安定雇用と均等待遇の課題

方針では、安定した雇用と均等待遇・労働時間の短縮等の課題も明記。雇用と職場を守る取り組みでは、「派遣切りや非正規削減に始まる雇用に関する動きに注意し、秋闘から始めた職場の要求をくみ上げる運動を継続」するとともに、「労働者犠牲のリストラを防止するため、使用者に経営状況の公開を求め、労働組合としての点検を強める」構え。

均等待遇・ジェンダー平等の促進については、「性別・雇用形態別の賃金・賞与・退職金・手当・福利厚生の制度と適用実態の一覧表やプロット図を作成する」などして要求をまとめ、パート有期労働法や最高裁判決も踏まえて、「まずは職場における手当と福利厚生の格差を根絶させる」とした。そのうえで、「法令や最高裁判決を乗り越える賞与や賃金、退職金の待遇格差、無期転換労働者と正社員、正社員のなかでの性別待遇格差の是正を求める」考えも示している。

テレワークへの対応も

さらに、「テレワークや兼業・副業が無秩序に広げられている」として、「『雇用によらない働き方』の濫用の規制、フリーランスやギグ・エコノミーへの規制強化、労働者性判断の在り方の見直しや雇用類似の働き方の保護制度の拡充などの政策要求をまとめ実現を目指す」。とりわけ、テレワークを導入している事業所に対しては、「テレワークで働く労働者の状況と要求の把握を行い、労働時間の実態と把握・記録の在り方、テレワーク就労コストの負担問題等をつかみ、使用者に対して、原則的な労働時間管理を行わせる」ことや、「労働時間規制の原則を守らせながら、労働者本位でテレワークが活用できる制度となるよう、厳格な労働条約を締結する」こと、「テレワークが使えない業務の労働者との格差が生じる場合は、格差是正措置を求める」などの対応措置を列記している。

方針は、集中回答日を連合のヤマ場(3月16~18日)より1週間早い3月10日に設定。翌11日をストライキも含む全国一斉行動日とする。4月1~10日には、回答促進強化旬間を配置する。