多くの学校が休校中に家庭学習課題の配布を実施/全教調査

2020年7月29日 調査部

[労使]

9割以上の学校が休校中に家庭学習課題の配付を行っていた一方、オンライン学習の実施は半数以下にとどまった――。全日本教職員組合(全教、小畑雅子委員長、約6万3,000人)の「新型コロナ感染拡大にともなう子どもと学校実態調査アンケート」で、こうした感染拡大が子どもたちと学校・教職員へ与える影響が明らかになった。集計されたデータからは、新型コロナウイルスの影響で遅れた学習の回復や開校後の感染拡大防止に向けた学校の取り組みの状況がうかがえる。全教は3密を防ぐための少人数学級の実現や、教職員への感染拡大防止に向けた対策を求めている。

オンライン学習を実施する学校は半数以下に

調査は2020年5月~6月に実施され、31都道府県の785校(小学校271校、中学校110校、高校294校、特別支援学校88校、その他(義務教育学校など)9校、無回答13校)から回答を得た。

それによると、休校中の取り組みとして、ほとんどの学校で「家庭学習配付」(91.0%)が行われている。これに対し、「定期的な家庭連絡」は72.3%となっており、子どもたちへの必要なケアや指導ができなかった学校があったことが推測された。

リアルタイムで教師と生徒がやり取りを行う双方向のオンライン学習は10.9%、事前収録した映像授業や教材を配信するオンライン学習は36.1%となり、合わせると47.0%で半数以下にとどまった。特に双方向のオンライン学習の実施は小学校では4.1%、中学校では8.3%と低く、家庭・学校のオンライン環境の準備や保護者の支援等が整っていないことが一因となっている。また、オンライン学習に関する自由記述では、子どもが学習に意欲的か否かで差が出てしまったり、学習内容を子どもが正しく理解しているか把握することが難しいといった課題も指摘されている。

学習の回復対策として長期休業期間の短縮や行事の縮減を実施

開校後の教育課程で学習の回復のために実施する(又は予定の)事項としては、「長期休業期間の短縮」(92.5%)や「行事の縮減」(84.7%)が上位となった。具体的な事例を見ると、夏休みの短縮とともに、一日7時間授業や定期テストの日数を減らすことで授業時間を確保する対策が考えられている。また、体育祭、文化祭等の中止も予定されているが、その一方で子どもやその保護者からは学校行事の実施を要望する声も上がっている。

一方、「土曜授業の実施・拡大」(12.4%)や「放課後補習実施(又は増)」(7.1%)は、新型コロナウイルス感染拡大以前から導入している学校が多かったこともあり、少ない割合となっている。また、「学習単元の調整(縮小、統合、次年度移行等)」(35.4%)を行う学校は約3分の1にとどまる結果となった。

職員室の3密回避対策をした学校は約半数に

開校後の児童・生徒の感染予防対策としては、「教室等への消毒液の配備」(89.2%)、「子どもの検温」(86.0%)、「トイレ等の清掃・消毒」(72.1%)などが行われている。一方、「少人数指導」(32.9%)を実施する学校は約3分の1となっている。

教職員への感染予防対策では、「在宅勤務の奨励」が73.1%となっているものの、「勤務時間の縮減」は11.8%と少ない。また、「職員室の3密回避対策」は51.0%と、約半数にとどまっている。開校後、教職員は子どもたちのケアや学習指導、消毒作業等により多忙を極めており、在宅勤務の取得も困難で感染リスクが高いことから、PCR検査体制の整備等、早急な感染拡大防止対策が必要となってくる。

少人数学級や専門スタッフによる消毒作業等が課題

調査では、今後、学校で緊急に対策・対応が求められる課題として、少人数学級を求める声が非常に多かったという。特に1クラスに40人いる状態では3密回避は難しく、20人、30人規模での授業を行うための条件整備が早期に求められる。また、消毒、トイレ・手洗い清掃等の物品確保と、清掃・消毒等を専門業者への依頼、熱中症対策としてのエアコンの全教室設置についても緊急対応の要望が多かった。