賃上げ回答は加重平均で6,085円/国民春闘共闘

2020年7月22日 調査部

[労使]

全労連などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:小田川義和・全労連議長)は7月9日、第2回単産・地方代表者会議を開き、2020年春闘の中間総括を確認した。20春闘の賃上げ最終集計では、回答引き出し組合の加重平均が6,085円、2.12%。中間総括は、新型コロナ禍で交渉が困難ななかにあっても、「たたかいのあるところに前進がある」などと強調している。

先行き不透明のなかで回答抑制が

国民春闘共闘では、今春闘から登録組合方式を改め全組合の回答を集約しており、その最終賃上げ集計(7月3日時点)によると、金額・率回答を引き出した806組合の単純平均(一組合あたりの平均)は4,982円(1.97%)で、組合員一人あたりの加重平均では6,085円(2.12%)だった。前年実績との比較が可能な406組合の単純平均額をみると、前年実績より72円低い5,121円となったものの、半数強の222組合で前年を上回る回答を得た。

たたかいあるところに前進が

2020春闘では、国民春闘共闘は、「月額2万5,000円以上、時間額150円以上」の賃上げ要求を掲げた。中間総括は、「困難ななかでも成果を出しているところの特徴はたたかいのあるところに前進があることだ」と指摘。その要因として、① SNSを活用した機関会議の開催や要求の組織化、国民へのアピールを通じ、職場での意思統一を図るとともに、職場世論・国民世論を形成している ② 回答期限を明確にして、ストライキ権の行使などを背景として回答を迫っている ③ 新型コロナウイルスの拡大を阻止しながら、団体交渉の人数を少数にすることや職場報告の徹底、ストライキ集会から職場集会への切り替えなど、工夫したたたかいを強化している――ことなどを列記した。

そのうえで、今後の課題として、コロナ禍で明らかになった「残業代がないと生活できない賃金体系の見直しなどを求める」ことや、均等待遇の実現による非正規雇用労働者等の改善要求の実現、最低賃金引き上げの運動、労働者の雇用継続・解雇阻止、テレワークへの規制強化等の多様な働き方への対応などを掲げている。

非正規労働者の時間額引き上げは26.8円

非正規労働者の状況については、10単産194組合から405件(前年同期は243組合から435件)の実績が報告された。時間額の引き上げでは、引き上げ額がわかる161件の単純平均額が26.8円。比較可能な67組合での単純平均は15.5円で、前年実績を0.3円下回っている。

また、企業内最低賃金協定は、10単産84組合から133件(前年同期78組合、140件)の実績報告があった。時間額では92件の平均額が937円、月額は20件で平均額は16万4,898円となっている。