NTTグループ主要6社は平均2,000円で決着

2020年3月18日 調査部

[労使]

NTTグループ各社の労使交渉は3月12日、NTT東日本、西日本、ドコモなどの主要6社で、正社員の月例賃金を前年と同水準の平均2,000円改善することで決着した。賃金改善は7年連続。一方、組合側が求めていた、60歳以上のフルタイム雇用への300万円以上の年収保証は議論を継続する。

NTT労組は今季交渉で、正社員の「基準内賃金および成果手当の2%改善」を求めるとともに、すべての雇用形態に具体的要求を確立する方針を提示。60歳超のフルタイム雇用等についても「今次春闘を契機に年間収入300万円以上に引き上げをめざす」としていた。

職場リーダー層・中堅社員に重点を置いた改善を/経営側

交渉の最終回答で経営側は、① 経済の先行き不透明感が増すなかで、今年度決算が「減益」の計画であるが、来年度は、中期経営戦略を協力に推進し、反転させていく年とするための、「社員・組合員の努力がその実現につながる」との観点で、月例賃金改善を昨年水準で実施する ② 中期経営戦略の推進のため、職場リーダー層・中堅社員に重点を置いた改善とし、事業を牽引していくことを期待する ③ 今後も、労使信頼関係のもと、事業課題、「高年齢者雇用安定法」への対応や労働条件等、さまざまな課題について議論していく――ことを表明した。

雇用や働き方に関する社会システム等への変革にも対応を/組合側

これに対し、組合側は、①NTTグループの厳しい経営状況などのなかで、「人財を重視する」姿勢が示された②AI・ビッグデータ、5Gなど技術の進展で、社会システムや生活空間がグローバル規模で大きく変革する時期にあり、NTTグループ事業には、よりスピード感を持った対応が求められる③NTT労組は、引き続き、「雇用の安定・確保」を第一義に対応する考えであり、会社側には働きやすい・働きがいのある職場環境整備とともに、雇用や働き方に関する社会システム等への変革にも的確に対応していくことを求める--などと応じ、妥結・収拾を図った。

示された回答は、「資格賃金および成果手当を改定し、一人平均2,000円(資格賃金700円、成果手当1,300円)改善する」というもの。実施時期は、2020年4月1日としている。

特別手当(賞与)も妥結

一方、昨年水準を基本に、年間臨給方式で「NTTグループ統一モデル(40歳、一般資格1級の基準内賃金)」で要求していた特別手当(賞与)については、NTT東日本162万8,000円(前年159万3,000円)、NTT西日本155万2,000円(151万8,000円)、NTTコミュニケーションズ157万円、(同153万3,000円)、NTTデータ174万6,000円(同175万1,000円)、NTTドコモ181万9,000円(同185万5,000円)、持株会社155万2,000円(同151万8,000円)となった。

なお、組合側が求めていた、60歳以上のフルタイム雇用への300万円以上の年収保証については、議論の場を設けて話し合いを継続するという。