パート時給の引き上げ額が過去最高の水準に/連合

2020年3月18日 調査部

[労使]

連合(神津里季生会長)は13日、本部で記者会見を開き、9日~13日と設定した第一先行組合の回答状況について説明した。平均賃金方式でみた定期昇給相当分込みの賃上げ額の加重平均は5,841円(1.91%)で、昨年同時期を下回る水準となっている。一方、短時間労働者の時給引き上げ額の加重平均は31.68円で、加重平均での集計を開始した2015年以降で最高の水準となった。

賃上げ率1%台は2013年以来

13日午前10時時点の回答集計によると、平均賃金方式での賃上げ回答の加重平均額(577組合、142万5,981人)は5,841円で、昨年同時期の回答額を812円下回った。率にすると1.91%で、昨年同時期と比べ0.25ポイント下落し、2013年以降初めて1%台に落ち込んだ。規模別にみると、300人未満は賃上げ額が5,255円で、率が2.05%。300人以上は、額が5,855円で率が1.91%となっており、2年ぶりに300人未満の賃上げ率が300人以上を上回った。

賃上げ分が明確に分かる344組合の、ベアや賃金改善分などの賃上げ分の加重平均額は1,423円(0.44%)で、昨年同時期に405組合について算出した賃上げ分と比べると473円マイナスとなっている。規模別にみると、率では300人未満(1,415円、0.57%)が300人以上(1,523円、0.44%)を上回った。

一方、パートタイム労働者などの時給の賃上げ回答状況をみると(77組合、37万1,301人)、加重平均額で30.49円(平均時給1,036.69円)となっており、昨年同時期の回答額を2.95円上回った。連合では加重平均の集計を2015年に開始したが、30円を超えたのはこれが初めて。月給についてみると(23組合、1万3,013人)、賃上げの加重平均額は5,710円で、昨年同時期比は1,089円プラスとなった。

「賃上げの大きな流れは継続できた」(神津会長)

神津会長は「ここ数年、賃上げの流れが引き続いたなか、構成組織、単組が大変な状況のなかで真摯に交渉したうえでの結果だ。要求との隔たりはあるが、賃上げの大きな流れを継続できたと率直に受け止めたい」と話した。また、「大事なのは組合の傘に入っていない人たちであり、未組織の労働者一人ひとりの賃金が4月に上がっていくのかを考えると、後続もふんばって、世の中全体にこれをいかに波及させるかに向かっていかないといけない」と述べた。新型コロナウィルスの影響については「足下の問題が(連合全体としては)交渉に影響したとは見ていない」との見方を示した。

会見には、「金属」「化学・食品・製造等」「流通・サービス・金融」「インフラ・公益」「交通・運輸」の各共闘連絡会議の代表者も同席し、それぞれ最新時点の先行組合の回答状況を紹介した。各報告によると、「化学・食品・製造等」のJEC連合では賃上げ分が1,000円を切る状況で、フード連合、紙パ連合では1,000円を下回る状況だとした。「インフラ・公益」では、情報通信や電力の一部などで賃上げを獲得し、額はおおむね昨年同額となった。「交通・運輸」では、運輸の6組合、私鉄の4組合、JRの3組合でベアを獲得した。