鉄鋼総合は賃金改善見送り、総合重工は1,000円の賃金改善/基幹労連傘下の大手組合

2020年3月13日 調査部

[労使]

基幹労連(神田健一委員長)に加盟する大手労組の賃上げ交渉は、鉄鋼総合3社が賃金改善を見送る一方、総合重工は2020年度で1,000円の賃金改善の回答を受けた。非鉄総合では、2020年度について住友金属鉱山の労組が1,500円、三菱マテリアルの労組も600円の賃金改善を獲得した。

基幹労連は、賃金や一時金などの主要労働条件を隔年で交渉する「2年サイクル」の労働条件改善(AP:アクティブプラン)の取り組みを展開している。ただし、業種による事業環境の違いなどに配慮した柔軟な取り組みも容認しており、部門や部会でまとまりをもって取り組むことを前提に、単年度ごとに賃金について要求・交渉することも可能としている。今春闘では大手組合である鉄鋼総合の労組が2年分の要求を行う一方、総合重工と非鉄総合の組合は単年度での交渉方式を採った。

AP20春季取り組みで日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所の鉄鋼総合3社の労働組合は、「2020年度3,000円、2021年度3,000円」の賃金改善への財源投入を求めてきた。それに対し、各社の経営側は、2020年度、21年度ともに賃金改善を見送る回答を示した。改善分の見送りは7年ぶり。

三菱重工、川崎重工、IHI、住友重機械、三井E&S、キャタピラー日本、日立造船の総合重工の各組合は、2020年度の単年度で3,000円の賃金改善を要求。各社の経営側は1,000円の賃金改善を回答した。

住友金属鉱山は前年同額の1,500円を回答

非鉄総合は、賃金改善要求として三菱マテリアル、住友金属鉱山、三井金属、DOWAの4社の労組が2020年度に3,000円の賃金改善を要求。JX金属の労組も2020年度に2,500円の財源投入を求めた。これに対し、11日には住友金属鉱山と三菱マテリアルの2社が賃金改善を実施すると回答。住友金属鉱山は前年実績と同額の1,500円、三菱マテリアルは600円を回答した。三井金属とDOWA、JX金属は賃金改善の回答を見送った。

「要求額との対比で十分とはいえないが、結果は率直に受け止める」(神田委員長)

一方、年間一時金では、鉄鋼総合は3社全て業績連動方式。総合重工の回答は、業績連動方式の川崎重工と三井E&Sを除くと、三菱重工が「5.65カ月」、IHIは「5.1カ月+協力金2万円」、住友重機械は5.51カ月、日立造船は「18.5万円+4カ月」など。非鉄大手は住友金属鉱山のみが交渉方式で、175万円で決着した。

神田委員長は大手組合に示された賃金改善の回答を受けて、「産別の立場では要求額との対比においては十分とはいえない認識はあるが、結果は率直に受け止めていきたい」などと述べた。