大手先行組合の賃金改善分の回答は1,000円かやや昨年を下回る水準/JAMの大手主要組合の回答状況

2020年3月13日 調査部

[労使]

機械・金属関連の労働組合が加盟する産別労組のJAM(安河内賢弘会長)では12日までに、コマツや島津など大手で構成する「先行グループ」の各単組が回答を引き出した。先行グループが獲得した賃金改善分はおおむね1,000円か、それをやや下回る水準となっている。

アズビルは改善分2,000円で要求満額を獲得

11日午後3時時点の先行グループ組合の回答状況をみると、アズビルが「賃金構造維持分4,789円+賃金改善分2,000円」の要求に対して満額回答。島津は平均賃上げで「賃金構造維持分5,591円+賃金改善分3,900円」の要求に対して、回答は「賃金構造維持分5,591円+賃金改善分1,000円+α」。横河電機は「賃金改善分(1,750円)+各等級の基本給上限・下限改定5,000円」の要求に対して、「賃金構造維持分+α」。シチズンは賃金改善分6,014円の要求に対して、賃金構造維持分のみ。ジーエス・ユアサは「賃金構造維持分5,458円+賃金改善分3,000円」の要求に対して、「賃金構造維持分5,458円+賃金改善分600円」。NTNは「賃金構造維持分6,173円+賃金改善分6,000円」の要求に対して、「賃金構造維持分6,173円+賃金改善分850円」。日本精工は35歳個別賃金で賃金改善分3,000円の要求に対して賃金改善分350円。コマツは「賃金構造維持分6,000円+賃金改善分4,000円」の要求に対して、「賃金構造維持分6,000円+賃金改善分1,000円」。井関農機は30歳個別賃金で賃金改善分7,130円を要求し、中途採用者を是正するとの回答を受けた。

JAM全体の平均回答額は昨年並み

JAM全体の回答状況を12日時点の結果(JAM2020年春季生活闘争状況報告No.6)でみると、平均賃上げでの回答額の平均(260組合)は5,350円。賃金構造維持分を明示している単組だけで賃金改善分の回答平均(123組合)をみると1,355円となっている。なお、11日時点では、賃金改善分の回答平均はほぼ昨年同時期並みで、規模別の結果では規模の小さい単組ほど高い額の賃金改善分を獲得している状況だった。

「今後も賃上げの流れを止めない取り組みを」(安河内会長)

安河内会長は11日に金属労協で開かれた金属労協と連合金属部門共闘連絡会議の合同記者会見で、11日昼までの大手単組を中心とする回答状況について「後続の交渉単組もこの(賃上げの)流れを止めない取り組みが求められる」とコメント。また、中小単組も含めた全体の回答状況については、同日の本部での説明のなかで「新型ウィルスの影響が出る前、昨年9月から、中小単組を取り巻く景況感は急速に悪化したにもかかわらず、現時点では昨年並みの水準を確保している」と話した。