回答額にばらつき、日立労組は1,500円の水準引き上げを獲得/電機連合・中闘組合の妥結状況

2020年3月13日 調査部

[労使]

大手電機メーカーの労働組合で構成する電機連合(野中孝泰委員長)の中央闘争組合13組織は11日、「開発・設計職基幹労働者」(30歳相当)の賃金水準引き上げについて、闘争行動に入るかどうかの判断基準とする歯止め基準の「1,000円以上」を満たす回答をそれぞれ会社から引き出した。回答金額はばらつき、日立労組などは1,500円を獲得する一方、富士通労組などは1,000円での決着となった。

村田製作所労組は1,400円の引き上げを獲得

大手メーカーで構成する中闘組合は、事前にスト権を確立したうえで、要求から妥結まで足並みを揃えて交渉に臨む産別統一闘争を展開する。今次闘争での統一要求基準は、「開発設計職基幹労働者」(30歳相当)の賃金水準の「3,000円以上」の引き上げ。今年は、闘争行動に入るかどうかを判断する歯止め基準について、月例賃金の水準引き上げに関しては、9日に開催した中闘委員会で「1,000円以上」とすることを確認。そのうえで、11日の集中回答日に臨んだ。

11日に出された回答をみると、日立グループ連合・日立製作所とシャープグループ労連・シャープが1,500円、村田製作所グループ労連・村田製作所が1,400円、東芝グループ連合・東芝が1,300円、パナソニックグループ労連、全富士通労連・富士通、三菱電機労連・三菱電機、NECグループ連合・日本電気、富士電機グループ連合・富士電機、OKIグループ連合・沖電気工業、安川グループユニオン・安川電機、明電舎、パイオニア労連・パイオニアが1,000円となり、回答がばらつく結果となった。

なお、東芝の1,300円は、会社のプレスリリースによると、「1,000円の賃金改善」と「300円相当のカフェテリアポイント追加付与」との内訳だという。日立は、会社プレスリリースのなかで、実際の賃金改定額について「従来通り、発揮価値の高さ(「成果の大きさ」と「行動の的確さ」)に応じて決定する」としている。

「期待と社会的要請に応える水準」(野中委員長)

野中委員長は11日の金属労協・連合金属部門共闘連絡会議の合同会見で、賃金の回答に対する受け止めについて「この額は組合員の期待と社会的要請に応えうる水準であり評価できる」とコメント。「とりわけ米中の貿易摩擦、新型コロナウイルスの感染拡大では、私たちの生活や仕事、企業活動、経済に多大なる影響が出た。早期に闘争の円満決着を図り、日本経済の落ち込みなどからも非常事態における対応が求められるなかでの回答となった。世間相場が全く見えず、むしろ日増しに状況が悪くなり、緊張感が高まるなかで引き出した回答であり、個別労使の真摯な交渉と、労使それぞれの英断に感謝と敬意を表する」と話した。

産別最賃では1,000円引き上げを獲得

賃金以外の要求項目の回答状況をみると、企業内最低賃金協定である産業別最低賃金(18歳見合い)では、すべての中闘組合が現行水準を1,000円引き上げることで妥結した。一時金について、交渉方式をとっている組合の回答結果をみると、日立が年間6.0カ月、三菱が5.7カ月、富士電機が5.6カ月、沖電気工業が4.6カ月、パイオニアが夏2.0カ月となった。なお、これ以外の組合は業績連動方式をとっている。