長時間労働につながる2交替制夜勤職場が過去最高に/日本医労連調査
2019年11月22日 調査部
8時間以上の長時間勤務が前提となっている「2交替制夜勤」を行う病棟(2交替病棟)が、過去最高の39.3%になった――夜勤に従事する看護職員等のこんな労働実態が、日本医労連(森田しのぶ委員長、約15万5,000人)の「2019年度夜勤実態調査」結果で明らかになった。集計されたデータからは、夜勤人員の不足が続くなか、長時間夜勤や短い勤務間隔での労働が行われている状況がうかがえる。日本医労連は看護職員の増員や、労働環境の整備などによる改善を求めている。
2交替病棟での16時間以上の長時間夜勤が5割超
調査は毎年実施され、今年度は383施設(入院部門は2,650病棟・看護職員7万4,867人、看護要員8万5,361人)の回答を集約。勤務状況については2019年6月の実績を対象としている。
それによると、2交替制を採用している病棟の割合は、本調査開始当初の1999年は6.5%に過ぎなかったが、年々増加し、今回は39.3%と、昨年(39.2%)より増加した。これに対し、3交替制の病棟の割合は1999年の93.5%から、今回60.7%と減少している。また、2交替病棟においては、「16時間以上」の長時間夜勤は、病棟数の54.4%、看護職員数の52.7%となり、昨年(病棟数の59.0%、看護職員数の56.7%)より減少したものの、変わらず半数を超える結果となった。
長時間労働の現状について、森田委員長は、「現場では、人手が必要な時間帯をカバーするため、10数種類ものシフト数で、不規則な勤務を強いられている。その結果、長時間労働で疲弊し、退職するという負のスパイラルに陥っている」などと懸念を示している。
勤務間インターバル8時間未満の割合も増加
国際労働機関(ILO)の「看護職員の雇用と労働および生活条件に関する勧告(第157号)」では、「勤務と勤務の間に少なくとも連続12時間以上の休息期間」を設けることを定めている。しかし、今回の調査では、最も短い勤務間隔が「8時間未満」と答えた割合が46.0%、「8時間以上12時間未満」が13.5%となり、合わせると59.5%と半数を超えた。これに対し、「12時間以上16時間未満」は35.9%、「16時間以上」は4.6%となった。
ILO勧告の水準を満たさない12時間未満の割合は昨年(59.9%)より減少しているものの、そのうち「8時間未満」と答えた割合は昨年(45.4%)より増加していることがわかる。
夜勤日数「月9日以上」は2割超に
夜勤日数を見ると、3交替職場の月あたりの平均夜勤日数は、7.64日で、昨年(7.62日)より微増した。この数字は、1993年まで8日台で推移していたが、翌1994年に7.99日となり、以降7日台が続いている。
夜勤日数別の割合を見ると、「月8日以内」が76.7%、「月9日以上」が23.3%、「月10日以上」が5.9%となった。1992年に制定された「看護師等の人材確保の促進に関する法律」(看護師確保法)の基本方針では、「月8日以内」の夜勤体制を水準としているが、今回の調査では、依然として2割を超える看護職員が月9日以上の夜勤に従事していた。また、重篤・重症の急性期患者を看るICU(集中治療室)・CCU(冠疾患集中治療室)等では、「月9日以上」の夜勤が38.4%にのぼっている。
一方、2交替職場の平均夜勤回数は4.09回と、昨年(4.12回)より微減。こちらは、2009年まで3回台で推移していたが、翌2010年に4.19回となり、以降4回台で高止まりしている。
夜勤回数別の割合を見ると、「月4回以内」が66.9%、「月4.5回以上」が33.1%、「月5回以上」が26.2%。「月4回以内」の割合は昨年(64.4%)より改善はしたものの、依然として3割を超える看護職員が月4.5回以上の夜勤に従事している状況は変わらない。ICU・CCU等でも、「月4.5回以上」の夜勤が57.8%に及んでいる。
約3割の施設に夜勤協定がない
労使間でひと月単位を基準に夜勤に関する制限を定める「夜勤協定」の有無について見ると、「有」が70.2%、「無」が29.8%となった。協定のない割合は昨年(27.1%)より増加しており、約3割の施設で夜勤に関するルールが定められていないことが明らかとなった。
日本医労連は、「労働者を守るために、すべての組織で夜勤協定を締結し、順守させることが求められている」として、看護職員の増員と、実効ある夜勤規制を行うことで、職場環境の改善を図る必要性を強調している。