「25万労連」に向けて集団的労使関係の枠組みづくりを/情報労連大会

2019年8月7日 調査部

[労使]

NTTやKDDIなどの労働組合でつくる情報労連(野田三七生委員長、約20万人)は8月1日、都内で定期大会を開き、向こう2年間の運動方針を確認した。組織拡大では、「25万労連」の達成に向けて、全構成組織が具体的な拡大目標を定めて取り組む。野田委員長は、「労働の劣化や雇用の多様化・流動化が進む今日、労働組合をつくり、集団的労使関係の枠組みをつくることは、労働組合が果たすべき大きな役割・責務だ」などと訴えた。

ソフトバンク労組(4,500人)の加盟を承認

2019~2020年度の中期運動方針は、運動の重点として ① 仲間づくり ② 加盟組合活動 ③ 産別政策 ④ 政治活動 ⑤ 社会的役割――を掲げている。

仲間づくりについては、「25万労連」の達成に向けて、全ての構成組織が「集団的労使関係の強化・充実」と「未組織グループ・関連会社の組織化」を重点に、「具体的な組織拡大目標を定めて『結果を出す』取り組みを展開する」としている。

冒頭、野田委員長はあいさつで、「産別としての役割と責任を果たすために、スケールメリットを生かした運動の展開は必須で、そのための生命線が『仲間づくり』だ」と指摘。「加速するグローバル化をはじめとして、デジタル革命による市場の劇的変化や熾烈な競争環境の下で、労働の劣化や雇用の多様化・流動化が進む今日、労働組合をつくり、集団的労使関係の枠組みをつくることは、労働組合が果たすべき大きな役割・責務だ」と強調した。

また、大会では、6月の「JR総連」の定期大会で脱退を承認されたソフトバンク労働組合(鈴木建行委員長)の加盟が承認された。野田委員長はあいさつのなかで、同労組の産別移行の経緯を説明。「現状、組織率は25%、組合員は4,507人だが、今後は情報労連の仲間として情報と課題を共有しつつ、ともに悩みともに苦労し、『仲間づくり』や『情報通信政策の実現』等の課題解決を目指したい」と述べた。

「情報労連時短目標」の達成を意識した取り組みを

加盟組合活動の充実に向けては、県協を基本組織としてきた体制から、ブロック支部を基本組織とした体制に移行する。情報労連の基本組織として新たに、「北海道」「東北」「関東信越」「北陸」「東海」「近畿」「中国」「四国」「九州」の9ブロックに支部を設置。運営体制の強化を図る。

産業政策の取り組みについては、情報サービス産業の魅力向上に向けて、「ITエンジニアの労働実態調査」を引き続き実施するなど情報サービス産業で働く者の目線に立った課題の深掘りや政策課題の設定に取り組む。情報通信政策に関しても、情報通信審議会等の論議動向を注視し必要な対応を行うほか、通信建設業を取り巻く人手不足による技術継承や長時間労働等の課題についても、さらなる検討を進めていく。

また、労働政策に関しても、職場での均等待遇実現やワーク・ライフ・バランスの実現に取り組む。労働時間では、年間労働時間や時間外労働の縮減、時間外労働等の割増率、年休付与日数等について、最低到達目標と目指すべき目標を明示した「情報労連時短目標」の達成を意識した取り組みを強化する。

衆院選に向け「いついかなる事態にも柔軟に対応できる体制の確立を図る」

一方、政治活動では、先の第25回参議院議員選挙で、吉川さおり氏を組織内候補者として立憲民主党から擁立。14万3,472票を獲得し、三選を果たした。こうした結果について野田委員長は、「全組織が危機感を共有し、総力を挙げた取り組みが結実したもの」と評価する一方、「組織のバロメーターでもある獲得票が前回(2016年)、前々回(2013年)を大きく下回ったことについては真摯に受け止め、十分な分析を行ったうえで労働組合の三大機能の一つである『政治機能』の強化に生かしていきたい」と訴えた。

方針は政治活動について、「政治は無関心ではいられない」との認識を広く浸透させるための啓発活動を強化するとともに、目指す政策・制度の理解・浸透に向けた取り組みを展開。あわせて、衆議院議員選挙に向けて、「いついかなる事態にも柔軟に対応できる体制の確立を図る」としている。

このほか、被災地復興支援や防災・減災の対応、平和運動などについても、産別としての社会的役割の発揮を図っていく構えだ。

なお、役員改選では、野田委員長(NTT労組)、北野眞一書記長(新任、NTT労組)らの新執行部を選んだ。