賃上げは加重平均で6,001円/国民春闘共闘の春闘中間総括

2019年6月21日 調査部

[労使]

全労連や中立労組などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:小田川義和全労連議長)は6月21日、都内で第2回単産・地方代表者会議を開き、2019年春闘の中間総括を確認した。賃上げが昨年と同水準の回答にとどまっていることについて、先行き不透明のなかで回答抑制が行われたことを指摘するとともに、組織の強化を課題に挙げている。

先行き不透明のなかで回答抑制が

国民春闘共闘の第7回賃上げ集計(5月27日時点)によると、登録797組合の半数近くにあたる418組合・52.4%が回答を引き出した。回答引き出し率は、前年同期(登録818組合、回答引き出し組合467組合・57.1%)より4.7ポイント低下した。

回答引き出し組合のうち、金額・率回答を引き出した325組合の単純平均(一組合あたりの平均)は5,448円(1.99%)で、前年同期と比べ31円減(0.05ポイント増)となる。一方、組合員一人あたりの加重平均では6,001円(2.04%)となり、前年同期と比べ138円減(0.03ポイント減)となった。

金額・率を回答した325組合のうち、前年との比較が可能な286組合の単純平均額をみると、金額では5,461円で前年(5,568円)を107円下回る。率では、1.99%で前年(1.98%)を0.01ポイント上回る。

2019春闘では、国民春闘共闘は、「月額2万5,000円以上、時間額150円以上」の賃上げ要求を掲げていた。中間総括を提起した野村幸裕・事務局長は、「要求からみれば非常に低額に抑えられた」としながらも、「上積み獲得の労働組合が、昨年より3.0ポイントあがり、職場で粘り強いたたかいが展開できた」と評価した。

中間総括は、要求と結果の乖離が大きい要因として、① 消費税増税や海外の不安定な経済状況を背景に「先行き不透明」として回答の抑制が図られている ② 中小零細企業では、従業員確保の見通しが持てない ③ 大企業の賃上げ抑制により個別職場での回答抑制につながっている ④ 要求の討議や力・行動の集中という点では全組織が立ち上がっている状況になく、組織の強化が求められている――ことなどを指摘している。

非正規労働者の時間額の引き上げは22.8円

非正規労働者の状況については、14産別207組合から399件(前年同期は、226組合から306件)の実績が報告された。

時間額での引き上げ額の報告があった177件の単純平均額が22.8円(前年実績23.3円)となり、前年実績額を0.5円下回った。一方、日給では5件の単純平均額が179円(同168円)、月額では41件の単純平均額が4,022円(同2,675円)となり、それぞれ前年実績を上回った。

なお、企業内最低賃金協定については、7産別78組合から152件(前年224件)の実績が報告された。報告件数が前年を大きく下回っていることについて野村事務局長は、「均等待遇を視野に、時間額の改定ではなく、一時金にまわした経営者が多かった」と説明した。

勤務間インターバルやハラスメントで制度改善も

一方、春闘共闘委がまとめた第1回制度的諸要求獲得状況調査(6月10日現在)によると、正規労働者の制度的諸要求については、280組合から451件の実績が報告された。内訳は、所得・諸手当が178件、労働時間・休暇が115件、労災・安全対策が34件、両立支援・母性保護が26件、ハラスメントが12件などとなっている。このうち、労働時間・休暇では、年5日の年休付与義務化に関わるものが11件、勤務間インターバル制度が5件、報告された。非正規労働者については、83組合から138件の実績が報告された。所得・諸手当が77件、休日・休暇が26件、雇用保障が11件などだった。