非正規雇用社員への扶養手当支給や65歳定年制の導入で決着/日本郵政グループ

2019年3月29日 調査部

[労使]

日本郵政グループ主要4社の春闘交渉は3月14日、一部の非正規雇用社員に扶養手当を支給することや65歳定年制を導入することなどで決着した。基準内賃金については、一般職の基本給と地域基幹職若年層の基本給を改善する。

一般職の大幅な賃金改善を実現

JP労組は働き方改革に関する取り組みについて、2018年・2019年の2年間の春闘で一定の方向性を見出すこととしており、今年の春季生活闘争では、「同一労働同一賃金の実現に向けた扶養手当の見直し」と「65歳定年制の実現」に一定の結論を見出すことを前提に交渉に臨んだ。

正社員の基本賃金については、「一般職の処遇改善、特に初任給およびミドル世代の引き上げを意識する」考えを示すとともに、「非正規雇用社員から一般職への登用者の給与引き上げについても意識して要求交渉を展開」。年間一時金は、18春闘で獲得した4.3カ月からの上積みを目指し、「トータルの仕上がりなどにも配慮しつつ」交渉を積み上げてきた。

こうしたなか、経営側は要求交渉の最終局面で、正社員の一時金4.3カ月に加えて、一般職の賃金改善の上積みや扶養手当の経過措置、65歳定年制の取り扱いなどの回答を提示。これを受けた組合側が、こうした回答を加えた内容を総合的に見て、到達点に達したものと判断し、妥結・整理を図った。

地域基幹職の若年層の賃金改善も

具体的には、正社員の基準内賃金について、全体の賃金改善は見送ったものの、一般職について1人あたり3,500円の賃上げを全号俸に配分。あわせて、地域基幹職若年層の賃金改善も図る。一時金は昨年同様、年間4.3カ月。扶養手当に関しても、コストイーブンを基本に議論を進め、会社が財源を若干持ち出して再構成する(経過措置5年)。

一方、非正規雇用社員については、60歳未満のアソシエイト社員(有期雇用から無期雇用に転換した非正規雇用社員)を対象に正社員の手当額の8割を算出して扶養手当を支給。アソシエイト社員等に係わる育児・介護休業の拡充も図る。

また、65歳定年制については、2020年度に60歳に達する社員から適用。役職の継続を希望する社員は、選考により役職を継続する。

なお、「扶養手当の見直し」と「65歳定年制」は、基本的な制度の骨格について、今春闘の結果として整理を図ったうえで、今後、詳細な制度設計に向けて交渉を継続。改めて制度見直しの提案を受ける内容を今年の定期大会で議案として提起し、今春闘交渉の妥結承認を受けるとともに、労働協約の改定を確認することになる。