就業時間後の残業代を請求できている人は全体の3分の1程度/日本医労連調査

2019年3月27日 調査部

[労使]

日本医労連(森田しのぶ委員長、15万5,000人)は3月20日に記者会見を開き、「2108年秋・退勤時間調査」の結果を発表した。調査結果によると、4人中3人が残業しているものの、残業代を全額請求できている人は、始業前労働で1割弱、就業後残業も3分の1程度に過ぎなかった。日本医労連では、「決められた所定労働時間では1日の仕事が終わらず、増員が決定的に必要」などと指摘している。

残業した人は4人中3人

調査は、長時間労働の是正と残業代不払いの根絶を目指す日本医労連が、職場の実態を把握することを目的に実施。昨年9月~今年1月末までの5カ月間、組合員が退勤する職員に聞き取る形で行い、1万1,296人から寄せられた回答を集約した。

それによると、調査を行なった日に時間外労働をした人は8,579人で、全体の75.9%を占めた。このうち半数超の4,740人(55.3%)が「就業時間前から仕事をして就業時間を超えても終わらない」状況にあった。

始業前の残業は7割が未請求

そこでまず、始業時間前に業務したかを尋ねたところ、全体の57.6%が行っていた。看護職員(69.4%)やリハビリ技師(56.9%)が多かったほか、医師(54.5%)も半数超の人が行なっている。また、1時間以上の始業前時間外労働は医師に多く、なかには3時間以上も前から働いている医師(2.5%)も見られた。年代別では、「24歳以下」(70.9%)、「25~29歳」(63.3%)など若年層の割合が高い。

こうした始業前の時間外労働を「全額請求している」人は全体の9.6%。「一部している」(7.8%)と「していない」(71.3%)を合わせて、約8割が実態に即した請求ができていない状況にあった。特に始業前時間外労働が多かった「24歳以下」(5.8%)や「25~29歳」(7.6%)は、ほとんど請求できていない。

3割近くが残業代を「請求できない雰囲気がある」

一方、就業時間後に業務した人は、全体の59.4%。職種別では、医師(76.0%)やリハビリ技師(69.2%)、看護職員(67.0%)の割合が高く、2時間超の残業では、医師(13.2%)と看護職員(7.4%)が突出している。

就業時間後の時間外労働を「全額請求している」人は全体の32.6%。始業前時間外労働よりは多いものの、全体の3分の1程度に過ぎない。他方、「一部している」(35.9%)と「していない」(20.6%)を合わせて、約6割が実態に即した請求ができていなかった。年代別では、「24歳以下」(26.3%)や「25~29歳」(29.3%)など、始業時間前時間外労働同様、若年層で請求できていない実態にある。

残業代を請求しない理由は何故なのか--。それについては、全回答者の3割近く(28.2%)が「請求できない雰囲気がある」と回答したほか、「請求できると思わなかった」も1割(10.1%)見られた。職種別では、看護職員(35.2%)やリハビリ技師(29.5%)、介護職員(24.4%)で「請求できない雰囲気がある」と答える割合が高い。

こうした結果を踏まえ、日本医労連は「『インターバル規制』や長時間夜勤と深夜勤務回数の制限、増員で8時間働けばふつうに暮らせる社会の実現を目指していく」考えだ。