単純平均5,464円、1.96%/国民春闘共闘委員会の第1回賃上げ集計

2019年3月27日 調査部

[労使]

全労連や純中立組合などでつくる2019国民春闘共闘委員会(代表幹事:小田川義和全労連議長)は14日、2019春闘・第1回賃上げ集計結果をとりまとめ、公表した。回答を引き出したのは199組合(登録組合の25.0%)、回答額の単純平均は5,464円、率で1.96%となった。加重平均では5,906円、1.85%となっている。

回答引き出し組合数は199組合で前年同時期を上回る

春闘共闘が集中回答日に指定した14日までに有額回答を引き出したのは登録797組合のうち199組合で、このうち妥結したのは17組合。回答引き出し組合数は前年同時期の189組合を上回り、割合(25.0%)も前年同時期23.1%を超えている。

回答引き出し組合の賃上げ状況は、単純平均(一組合あたりの平均)では5,464円(1.96%)で、前年同期を金額で555円下回っているが、率では同率。組合員一人あたりをみる加重平均では5,906円(1.85%)となり、前年同期を537円上回っている(率は0.01ポイントのマイナス)。集計対象の値は金額のみ・率のみの回答があるため金額と率は連動しておらず、個々の結果は前年と比べると増・減がまちまちの結果となっている。なお、回答引き出し組合のうち44組合は「定昇確保」など数値が示されない回答。また、国民春闘共闘によると、13組合が2次回答以上の上積み回答引き出している。

前年実績と金額を比較することが可能な143組合をみると、単純平均額は5,381円で前年実績を264円下回っているが、「前年実績以上」の組合数は89で半数を超えている。単純平均・率が比較可能な118組合では、今期の平均賃上げ率が1.94%となり、前年実績(1.98%)から0.04ポイントのマイナスだった。

時給制労働者の引き上げ額は18.7円

パートやアルバイトなどの非正規雇用者の賃上げ状況については、生協労連、全印総連、日本医労連の3単産57組合から90件の報告があった。時給制労働者の時間額の引き上げ額が集計できる21件の単純平均額は18.7円となり、国民春闘共闘は「ほぼ前年並みの引き上げ状況」としている。

国民春闘共闘は今春の交渉で、統一要求として「月額2万円以上、時間額150円以上」の賃上げを掲げている。今回の集計結果については「初回集計での回答水準は生活改善に向けた切実な要求に対して十分な回答とはなっていない」としつつ、産別、職種別の報告では前年実績を上回るものもあるとして、「要求をあきらめずに粘り強く上積みを勝ち取るたたかいを進めよう」と呼びかけている。

また、全労連は19日に都内で開かれた全労連幹事会で、今回の集計結果を受けて「人手不足を背景に初任給の改善が進んでいる」、「非正規雇用労働者の差別の解消の動きが顕在化してきている」などと分析。そのうえで2次回答・3次回答の上積み、労働時間短縮(新36協定による長時間労働の是正)などを含め「前進回答を求めていく」と「春闘後段の取組み」の推進を訴えている。