大手組合の賃上げ獲得額は前年を若干下回る/金属労協ヤマ場の回答結果

2019年3月15日 調査部

[労使]

金属労協(JCM、髙倉明議長)による大手組合の最新の回答集計によると、ベアや賃金改善などの賃上げ獲得額の平均は、昨年を200円程度下回っている。最大のヤマ場である集中回答日の13日に本部で会見した髙倉議長は「月例賃金にこだわり各組合がぎりぎりまで交渉した結果、最大限の回答を引き出した」と評価した。

一時金の平均は5.48カ月、過去6年間で最も高い水準

最新の回答集計(14日12時現在)によると、13日の集中回答日までに回答を引き出し、相場形成役となる53の「集計対象組合」のうち、49組合で賃上げを要求しており、49組合すべてが回答を引き出している。ベア・賃金改善分などの賃上げを獲得したのは45組合で、獲得した賃上げ額の平均は1,352円と前年の獲得額(1,542円)には届かなかった。ただし、浅沼弘一事務局長は「要求平均が下がっているので、昨年並みの状況と言える」としている。

一時金は、集計対象である53組合のうち、30組合が交渉方式をとっている。30組合すべてで回答を引き出しており、回答の平均月数は5.48カ月。昨年実績の5.32カ月を上回るだけでなく、賃上げ分の要求が復活した2014闘争からの6年間で最も高い水準となっている。

企業内最低賃金協定の取り組みでは、40組合が要求を行い、17組合が水準引き上げを獲得。平均引き上げ額は1,014円となっている。

「将来も見据えた論議で交渉もつれ込む」(髙倉議長)

13日、大手組合の回答がほぼ出揃った12時30分から、JCM本部で会見した髙倉議長(自動車総連会長)は、今次交渉の経過について「経営側は従業員の努力と成果に報いる人への投資の重要性については一定の理解を示している。しかしながら、グローバル経済での下押しリスクが高まり、産業・企業を取り巻く環境の不確実性が増していることを強調し、交渉では産業構造・事業構造の変化や、仕事・技術・スキルの変化への対応、生産性向上と働き方の見直しなど賃金などの労働諸条件にとどまらず、産業・企業の将来を見据えた論議が展開され、賃上げ交渉は最後までもつれ込んだ」と説明。賃金の回答に対する評価については「月例賃金にこだわり、各組合がぎりぎりまで交渉した結果であり、最大限の回答を引き出したものと判断する。このことは人への投資による組合員の意欲・活力の向上に寄与するものだ」と評価した。