個別ポイント要求単組が100以上増加/自動車総連の要求提出状況

2019年3月6日 調査部

[労使]

今春闘から個別ポイントでの絶対水準要求を前面に掲げている自動車総連(髙倉明会長)は4日、同日時点での賃上げ要求提出状況を公表した。中堅技能職(35歳相当)のポイントで個別賃金要求を行った単組が620組織にのぼり、2018年交渉での最終実績(501単組)をすでに100組織以上、上回っている。平均賃金要求では、賃金改善分の平均要求額が3,805円となり、3,000円以上を産別の要求基準とした2018年の最終実績(3,413円)を400円程度上回っている。

中堅技能職ポイントの平均要求額は26万7,339円

自動車総連は、すべての単組が自ら設定する「目指す賃金の実現」に向けて賃金引き上げに取り組むとして、今春闘方針では個別ポイントでの絶対水準要求を前面に掲げた。個別ポイントとしては、「中堅技能職」(35歳相当の技能職)と、今年から新設した「若手技能職」(30歳相当の技能職)の2点を設定。4日時点での集計によると、集計対象1,094組合のうち、個別賃金で要求を提出した単組数は640組織。「中堅技能職」と「若手技能職」に分けて要求単組数と要求平均額をみると、「中堅技能職」では620単組が要求し、要求平均額は26万7,339円。一方、「若手技能職」のポイントでは、360単組が要求を行い、要求平均額は22万6,113円となっている。

299人以下の平均要求額が最も高い

平均賃金要求についてみると、全体では967単組が要求しており、集計可能な953単組でみた賃金改善分の平均は3,805円だった。自動車総連は今春闘から、中小の改善要求額が大手の改善要求額を超えられなくなる傾向に歯止めをかけるため、平均賃金要求では産別としての要求基準額を掲げることをやめたが、結果的に賃金改善分の平均要求額は、3,000円以上を要求基準とした2018年の最終実績(3,413円)を400円弱上回ることとなった。

賃金改善分の平均要求額を組合規模別にみると、「3,000人以上」が3,066円(要求単組数30)、「1,000~2,999人」が3,375円(同69)、「500~999人」が3,612円(同118)、「300~499人」が3,642円(同118)、「299人以下」が3,957円(同618)と、「299人以下」が最も高い額となっている。

自動車総連が作成した規模別・賃金改善分要求額の分布図をみると、2018年の最終実績では、500人未満の単組では要求額は高くても6,000円~7,000円の範囲内にほぼおさまったが、4日時点での要求額の分布では、額の散らばりは昨年よりも大きくなっており、なかには1万円超え、2万円超えの要求を行っている単組も見られる。また、2018年は要求額の中央値は3,000円だったが、4日時点の集計では中央値は3,500円に引き上がっている。

「期待以上に水準引き上げに取り組んでいる」(金子事務局長)

自動車総連本部で集計結果を説明した金子晃浩・事務局長は、「われわれ(産別)が求める方向性に沿って、期待以上に水準引き上げに取り組んでいる」と評価。1万円を超えるような改善分を要求しているのは「車体・部品や販売部門の単組が主だ」と解説した。